[京都/むろまち加地]加地貴志さんにインタビュー!ミシュランビブグルマン店で「AssemblageClub:Taro’」が取り扱われる理由
酒蔵の垣根を越え、複数の日本酒をブレンドするという発想から誕生した「Assemblage Club(アッサンブラージュ クラブ)」。ブレンド酒と料理との相性、その味わいの可能性を広げる場として現場の料理人の声を聞いた。

京都の3つの酒蔵の協力のもとに実現した日本酒[Assemblage Club(アッサンブラージュ クラブ)]。関西を中心に80店舗を超える飲食店での取り扱いが実現しており、その中には有名料亭や高級ホテルなども含まれている。本記事では、ミシュランビブグルマン評価を獲得している「むろまち加地」へ、「Assemblage Club」の取り扱いを決めた理由や、その後の反響について取材した。
この方に話を聞きました

- むろまち加地 加地貴志さん
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プロフィール1975年京都市生まれ。27歳で飲食の世界に足を踏み入れ、「祇園料理鳥居本」「祇園にしかわ」で修行を積む。2011年8月に「むろまち加地」をオープン。
旬の食材と豊富な日本酒が楽しめる
JR京都駅から京都市営地下鉄で北に一駅。「五条駅」から歩いて5分程度、烏丸通沿いの繁華街の喧騒から離れた場所に「むろまち加地」は店を構える。
店内に足を踏み入れると、白木のカウンターがゆったりと広がり、木の温もりが心地よく迎えてくれる。献立の中心は月替わりのアラカルト。季節ごとの旬の食材が豊富に揃い、訪れるたびに新たな味わいに出会える。中でもおすすめは、その時期に厳選された小鉢が並ぶ「お通し八寸」。思わずお酒が進んでしまう、店自慢の逸品だ。
料理に寄り添う日本酒も豊富に揃い、全国各地から取り寄せた銘柄は日本酒通もうなるほどの品揃え。数カ月ごとに入れ替わるため、訪れるたびに新たな出会いを楽しめる。
ブレンドだからこそ感じられる香味
―当初、ブレンド日本酒の話を聞いた時どう思われましたか?
加地さん「非常に変わった取り組みだなと感じました。しかし、よく考えてみるとお店で提供しているお米もブレンドなんです。ウイスキーでもブレンドは行われていますし、日本酒の可能性を広げる取り組みとして面白いなと思っています」
―日本酒の取り扱いは多いのですか?
加地さん「日本酒中心にはなっています。タイプとしてはあっさりした辛口タイプを頼んでいただくことが多いですね。でも、日本酒が好きで詳しい方は『AssemblageClub:Taro’』が気になっているらしく、注文されるケースも増えています。事前に情報を仕入れて来店される方もいらっしゃいますよ」
―「AssemblageClub:Taro’」を飲まれた方はどのような感想を話されていますか?
加地さん「『AssemblageClub:Taro’』のお肉に合うというコンセプト通り、口当たりがしっかりしていると言われます。面白いのは『甘い部分もありながら、後味はスッと抜ける辛口タイプ』だと話される方が多いですね」
―いろいろな表情が感じられる点はアッサンブラージュならではですね。お肉に合わせて提供しているのでしょうか?
加地さん「基本的にはお客様主体で、合わせる料理は自由に選んでもらっています。料理のおすすめを聞かれた場合は、『お肉』や『味付けの濃い料理』に合わせてみてはと案内しています」
バランスよく合わせられるお酒を提供したい
▲「おまかせ八寸」(右)
月替りのアラカルトで大皿や小鉢、豆皿に乗り付けた豊富なおつまみが楽しめる。温菜や冷菜、お寿司など加地さんがおすすめする料理が並ぶ自慢の逸品だ。「大人のポテトサラダ」(左)その時々で変わる珍味を混ぜ込んでおり、熱烈なファンの多い肴。アラカルトで、気楽に味わえるのが嬉しい。
―提供前後での変化、反響は?
加地さん「取り扱い始めてまだ3カ月ですが、『ブレンド』というワードに興味を持ってくださる方は多いですね」
―ブレンド日本酒体験ができる「My Sake World」では店舗独自のオリジナルブレンド酒をつくることができます。オリジナルブレンド酒製作についていかがでしょうか。
加地さん「日本酒のブレンドについては未体験なのでどうなるか分かりませんが、また相談させていただければと思います」
―アッサンブラージュの日本酒を使用した展望について。
加地さん「今の『AssemblageClub:Taro’』を主軸にしつつも、やはりお店のメイン料理が和食なのでお魚や野菜など、バランスよく合わせられるようなお酒を提供していきたいですね。あっさりめのお酒、しっかりしたお酒まど独自で製造できれば面白いですね」
「Assemblage Club:Taro’」は、お肉料理や味わいのしっかりとした食事に寄り添うだけでなく、日本酒の新たな可能性を感じさせてくれる1本だ。
加地さんの目利きと提供の工夫によって、来店客に新たな味わいとの出会いをもたらしている。確かな技によって旬の旨味を凝縮させた逸品とのマリアージュで、日本酒の奥深い魅力をこれからも味わってほしい。まだまだ日本酒業界において珍しいアッサンブラージュという手法が[むろまち加地]のような店を通じて浸透することで、日本酒の楽しみ方はさらに広がっていくだろう。
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ライター:新井勇貴
滋賀県出身・京都市在住/酒匠・SAKE DIPLOMA・SAKE・ワイン検定講師・ワインエキスパート
お酒好きが高じて大学卒業後は京都市内の酒屋へ就職。その後、食品メーカー営業を経てフリーライターに転身しました。専門ジャンルは伝統料理と酒。記事を通して日本酒の魅力を広められるように精進してまいります。

むろまち加地
- 住所
- 京都府京都市下京区松原通新町東入中野之町185 1F
- TEL
- 075-353-1113
- 営業時間
- 1部:18:00~、2部:20:30~の一斉スタート