島酒店、島さんのおすすめ!今、造り手がアツい日本酒5選
お酒好きの信頼厚い専門店がポップにリニューアル!
まるでモダンなダイニングのような外観に、イエローをアクセントカラーにしたポップな店内。地酒に特化した日本酒と焼酎のセレクトショップ、島酒店。2023年5月25日にリニューアルして店の雰囲気はぐっとカジュアルに様変わり。最近日本酒に興味を持ち始めたビギナー層も入りやすい感じになったのでは。
1947年の開業以来、それまでの“町の酒屋さん”を3代目が専門店化。「カジュアルに、そして楽しく」をモットーに、日本酒のファン層を広げる。また、伝統的な日本酒にまつわる固いイメージを払拭し、もっと身近に親しんでもらおうと、さまざまなイベントを企画するなど積極的な取り組みを行なっている。
日本酒は35蔵、約60ブランドを扱う。冷蔵ケースによる温度管理を徹底し、最良の状態で提供できるようにこだわる。焼酎のラインナップも豊富。
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- 店主・島健太さん
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プロフィール若くして家業を継ぎ、25年になる3代目。情熱を持った造り手と飲み手を結ぶことを使命として、全国の酒蔵を飛び回る。
島さんのおすすめ 造り手がアツい日本酒5選
■NANZAN・城陽 特別純米
「名前は知っているけど‥という人が多い蔵ですが、一度飲んでみてほしい。今うける酒質で吟醸味もある。プッシュしている蔵の一つです。
こちらは京都酒林会のプライベートブランド。京都酒林会とは農家・酒蔵・酒販店の三方良しを目指す団体で、田植え、稲刈りから見守った京都産祝を100%使用しています。味わいはシャープできれいな酸があり、祝米の特性を引き出しています。食事に合う生酒です」
城陽酒造(京都府)/1800ml3,080円/アルコール分16度/精米歩合60%
■萩の鶴 純米吟醸 雄町
「萩野酒造は猫ラベルやメガネ専用などのポップな銘柄が多いですが、実はめっちゃ王道。フレッシュでフルーティー、ジューシーな味わいが注目されています。
その中にあってこれは珍しい熟成タイプ。氷温熟成できれいさを残しながら、雄町らしい旨みと艶のあるコク。冷やしすぎより少し常温くらいがおすすめで、整った旨みが料理を引き立たせます」
萩野酒造(宮城県)/1800ml3,850円/アルコール分15度/精米歩合50%
■廣戸川 特別純米
「26歳で蔵元杜氏となり、全国新酒鑑評会で金賞を取り続けている造り手。穏やかでおとなしい人柄で、酒質に彼の性格が表れているようです。
香りは控えめで口当たりはやわらかでなめらか、ギリギリの甘みとちょうど良い旨みの幅があり、キャッチーさはないものの親しみやすい味わい。篠峯と並ぶうちの看板商品です。今年のG7広島サミットの夕食会で振る舞われた名誉あるお酒」
松崎酒造(福島県)/1800ml2,970円/アルコール分16度/精米歩合55%
■篠峯 凛々 雄町 純米吟釀 無濾過生原酒
「うちの看板蔵のひとつ。雄町米をうまく使い、飾らずに旨みを引き出しています。千代酒造の年間70銘柄を数えるうち、ど真ん中に位置する代表格です。
赤磐地区瀬戸雄町を全量使用し、米の出来がダイレクトに伝わる。溶けがあまりよくなくドライに仕上がったとしても、米の旨みを付け足したりせずに、まっすぐ素材感をそのまま引き出しています。今年のドライさも4月頃から肉付けしてきて、一年通して味が出てくる銘柄です。味のブレもその年ごとの差が楽しめるという感じ」
千代酒造(奈良県)/1800ml3,300円/アルコール分15度/精米歩合60%
■KINOⅡ/帰農Ⅱ
「3〜4年前に息子さん兄弟が後を継ぎ、兄が企画プロデュース、弟が杜氏を担当されています。
印象的なネーミングは「すべての産業は農に帰する」というコンセプトから。農業に向き合い、リスペクトしたブランドで、自家栽培した伊勢錦を使って生酛造りをしています。伊勢錦とは昭和初期に全国的に人気があったものの一旦姿を消していたのを、ご兄弟のお父さんが復活させた地域の酒米。
これの前に作られた第1弾は、自然農法で育てた米を使用していますが、〔KINOⅡ〕では慣行栽培にしています。いずれも味わいのすばらしさは変わりません。どちらが良い悪いではなく両方の農法を平行に進めることが、農家に負担をかけずに継続していけるという考え方です」
元坂酒造(三重県)/1800ml4,180円/アルコール分16度/精米歩合65%
キャッチーさのないお酒にこそ、伝えたいことがある
改装を機に京都のお酒を入り口近くの目立つところへ移動させた。伏見や丹後の酒蔵も代替わりし、頼ってくれる若い世代を応援して一緒に盛り上げていきたいという思いからだ。島さんいわく「キャッチーさのないお酒にこそ、伝えたいことがある」。一本一本のお酒に込められたストーリーの語り部として、これからも造り手と日本酒ファンをつないでくれるだろう。