Sake Trivia

【豆知識】土地柄によって味わいは変わる?日本酒における「テロワール」について知りたい!

もともとはワインの用語だったテロワール。近頃では日本酒についても語られることが多くなりました。注目されている理由や、新しい活動を始めた酒蔵について唎酒師の藤田えり子さんが解説します。

豆知識 テロワール
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「テロワール」ってなんのこと?

テロワールとはもともとワインに関する用語です。「気候、土壌、地形など特定の地域の自然環境が産物に与える影響」のことで、ワインの品質は原料となるブドウの出来、ついては土地柄に左右されるため、テロワールはとても大切なのです。

豆知識 テロワール

テロワールを意識し始めた日本酒

では、日本酒の場合はどうでしょう? 原料の米は穀物なので運搬がしやすく、特A地区の山田錦など有名産地から買い付けることもできます。また日本酒の品質は造り手の技能にかかる部分が大きいため、これまではワインのようにテロワールについて語られることはほとんどありませんでした。

日本酒においてテロワールが注目されるようになってきた理由のひとつは、環境への意識の高まりがあります。地域独自の酒造好適米を使用し、地元の契約農家と協力しあうことで農業の持続につなげようとする酒蔵が増えています。さらには地域性を打ち出すことで、ほかとの差別化やブランド化を図るという目的もあるかもしれません。

豆知識 テロワール

水の個性は酒の個性

日本酒におけるテロワールの要素は水・米・気候などが挙げられます。特に仕込み水は重要で、「名水あるところに銘酒あり」といわれるほどです。仕込みに使われる水は湧き水など土地に根付いたものが多く、水の個性は酒の個性に大きく関わります。同じ酒処でも兵庫・灘のミネラル豊富な硬水では酵母の発酵が進みやすく力強い酒に、京都・伏見の軟水ではやさしく、まろやかな酒になるというのはよく知られていますね。

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気候においては冷涼な地域はすっきり淡麗タイプ、温暖な地域では濃醇な味わいのものが多い傾向にあり、郷土料理との兼ね合いも見逃せないところです。

米作りから酒造りまで手がける酒蔵も

一歩進んで、米作りから酒造りまでを手がける酒蔵も現れています。2019年には「農!と言える酒蔵の会」が発足、大阪の秋鹿酒造を始めとする20以上の酒蔵が加盟して、切磋琢磨をしながら活動しています。最近ではテロワールと同じくワインに倣って「日本酒のドメーヌ化」という言葉も聞かれるようになりました。

各地の風土や造り手の技術、それぞれの要素が絡み合って生まれる個性豊かな日本酒たち。今夜の晩酌はそのお酒が造られた酒蔵の風景に想いを馳せながら、味わってみるのはいかがでしょうか。


ライター・唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。

豆知識一覧はこちらから
https://sakeworld.jp/trivia/

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