名優もほれ込んだ食都の名産品があべのハルカスに集結
「新潟食と酒の大祭典」レポート
全国最多90蔵が銘酒を醸造している新潟県は、同時に日本酒にも欠かせない「米」をはじめとした食の宝庫だ。そんな新潟グルメを存分に堪能できる「新潟食と酒の祭典」が、10月9日~13日に大阪・あべのハルカスにて開かれた。Sake Worldでは、開催前に開かれた“スペシャルイベント”と、期間中の“祝祭”に潜入
大女優もほれ込む「日本を感じる入口」
「新潟食と酒の大祭典」スペシャルイベントが開かれたのは、イベント前日の10月8日。メディア向けに、関係者によるトークショーに加えて“囲み取材”を、会場に設けられた特設ステージ「スナックニイガタ」で実施。
わざわざ“囲み”をするほどの人物とはいったい誰かというと…それは女優の山口智子さん。実は山口さん、大の新潟フリークで、これまでも何度も訪問したという。

それでいて、大の日本酒好き。曰く、おススメのシチュエーションは「開放的な青空の下で午前中に飲む」。この飲み方がもっとも“細胞に染みわたる”とのこと。
若い世代(ヤングジェネレーション)には「古き良きの良さを知ってほしい」、それらを見せる伝統産業側には「自分たちの姿を堂々と示し、本物の本質を見せる。その方が“刺さる”」と、イベントを企画するネルニード・遠藤智弥さんが読み上げる質問に対し紡ぐ言葉は、[地球の幸せ]を常日頃から意識しているためか、どこまでも自然体であった。

機運高まるトークショー
小休止を挟んだあと、スペシャルイベントが開催。遠藤さんに加えて2024 Miss SAKE Japan南侑里さんがMC役をつとめ、引き続き山口さんも同席し、イベント関係者が代わる代わる登場。
まずは、あべのハルカスを運営する近鉄百貨店常務北村浩さんが挨拶。本イベントは「新潟酒の陣OSAKA」の名称で昨年開かれたものを引き継ぐ形での開催だが、改称にいたった要因となった「食」で助言を送ったそう。それに対し、遠藤さんは「2年目の最高バージョン」で対応したのが「新潟食と酒の大祭典」。

次いで、山口さん曰く「ポリネシア」を連想するという佐渡島から、地域振興部門田靖さんが登場、ちなみに山口さんは、イベント終了後、トルコを挟んだのち、佐渡島へ向かったそうだ。

さらに、精米機を持ち込んで、ブースにて精米したての魚沼産コシヒカリ「雪輪」を提供したグローアート水落幸恵さん。夫の和也さんが時折フォローしながら、山口さんに棚田が描かれたてぬぐいをプレゼントする一幕も。

そして、最後にスナックニイガタでママをつとめる上村桃代さん。
“地元”では「ぽん酒がぁる」という日本酒バーのオーナーをつとめ、前回は遠く離れた大阪にもファンが駆けつけたというエピソードを披露しながら、登場前に遠藤さんが紹介した「とある日本酒」を全員で試飲。

様々な角度から新潟が持つ魅力を紹介したプログラム構成は、これを聞くだけで触れてみたい機運が高まる内容。

特に最後に飲んだ「とある日本酒」は、Sake Worldとしてはぜひ試さなければいけない!
そう確信した筆者は、後日“現場”に向かった。
ハルカスでハレアカスをノミアカス
時計の針が少し進んだ10月12日午後。
三連休の中日ということで、会場内は人、人、人な大賑わいの中、再びあべのハルカスに足を踏み入れた筆者。新潟特化という、関西では中々見ることのないイベントには、多くの注目を集めていた。

人手をかき分けながら筆者が訪れたのは、これまた「スナックニイガタ」。先日とは打って変わり、カウンター席には新潟の銘酒と、遠藤さんがこの日のために厳選したフードに、満足気に舌鼓を打つ客の姿。
多くの方はペアリングに悩むところであるが、筆者のお目当てはただ1つ。先ほどの「とある日本酒」こと『越乃晴明(こしのはれあかす)』だ。

新潟で越乃というと、様々な銘柄が思い浮かぶが、実はこの酒、今回イベントに出展した29蔵の日本酒を混ぜ合わせたブレンド日本酒。スナック限定メニューとして提供しているとのことだ。
「お酒ってブレンドできるんですね」と、試飲時に山口さんも関心をもっていたが、筆者も「新潟もブレンドやってるのか!」と、存在を知ったときに驚きを隠せなかった。

いったいどんな味なのか…いただきますゴクゴク…むむ、こ、これは、実に新潟!
念のためお伝えしておくが、筆者は別にふざけているわけではない。飲んだあとの第一声がただそうだったのだ。
新潟の日本酒といえば、淡麗辛口王国と形容されるほど、キレのいい辛口が特徴的。そこで生み出された銘酒をブレンドした結果、より「米」が舌にダイレクトに伝わってきた。
これはAssemblage Clubでは生み出せないかもしれない。決してAssemblage Clubが劣っているというわけではないが、このブランドの特徴は、京都の酒蔵が造る日本酒をブレンドさせて生み出されたもの。それすなわち、より「京都」を感じさせる1本ともいえる。
様々な銘柄が重なり合い、融合による化学変化から複雑で繊細な味わいが特徴的なブレンド日本酒だが、一方で、同地域でそれを実施した場合、組み合わせ次第で、特徴を凝縮させた一本が生まれることもある。その土地ならではなアイデンティティーをより想起させる何かが、ブレンドにより深淵から引き出されるのではないだろうか。
スペシャルイベントにて、「伝統は革新の連続である」と山口さんは語っていたが、ブレンド日本酒が起こすそれは、酒造りが永劫持続させるための刺激のひとつになりうる可能性を秘めているのであろう。
なんてことを思いつつ、再会した桃代ママと酒バナに花を咲かせた。二回目とはいえ、銘酒を彩るペアリングの華とばかりに、スッと入ってくるコミュニケーションは、大阪まで馳せ参じるファンが現れるのも納得のお人柄。

越乃晴明の持つ革新性の余韻に浸りつつ、同時に注文した「越路乃紅梅」「越後鶴亀」が有する味わい深さを堪能。“下地”あってのそれであることを同時に再確認。


ちなみに、想定以上の盛況で、開催日をあと1日を残しているにもかかわらず、提供酒数銘柄が売り切れてしまったそう。最終日は無事に乗り切れたのであろうか…?

アイシテルニイガタ
「2年目の最高バージョン」と遠藤さんの言葉通り、「食と酒の大祭典」は、日本酒はもちろん、様々なご当地グルメが会場を彩った。厚揚げに乾物、ラーメンに寿司、そしてスペシャルイベント時でも紹介された精米機で精米された「雪輪」。
多くの来場者とともに、筆者もあれやこれやと目移り。大いに迷った挙句、何品か購入し帰宅後食したのだが実に美味!表面的にしか知らなかった新潟の扉を少し開ける機会となった。

日本酒については多士済々な面々。個々の酒蔵に立ち止まって会話をする来場者も多く見られ、“王国”ぶりが一層際立つ。

その中にはSake Worldでも以前ご紹介した葵酒造の姿も。

葵酒造・土居将之さん
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♯新潟
とはいえ、今回出展したのは2025年11月現在で90となった酒蔵の中で約3分の1に過ぎない。現地に赴けば、これの3倍楽しめると考えたら、「3年目の至極バージョン」が今から待ち遠しい。
八海山がロサンゼルスドジャースと提携しているように、その注目度はワールドワイドなのが新潟の日本酒。そしてそれを彩る食は、器も含めてまだ多くの引き出しが残されている。
栃木出身の山口さんがなぜここまで魅了されたのか、兵庫出身の筆者も頷けた日々となった。アイシテルニイガタ~♪




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