イベントレポート

[2025]昨年よりもパワーアップ!JTB×京阪電車「京都日本酒電車」を乗車体験レポート

2025年2月15日(土)、16日(日)の2日間限定で、昨年も大好評だったJTB×京阪電車の特別企画「京都日本酒電車」が特別運行された。蔵人も乗車する貸し切り電車にて、京都の日本酒とおつまみやお弁当を楽しむという贅沢な時間が実現。本記事では16日午前便の様子をレポートする。

京阪電車 メイン
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昨年、コロナ禍を経て久々に本格開催された「京都日本酒電車」。復活を待ち望んでいた多くの参加者で賑わったことから、2025年の運行も決定した。京阪「三条駅」から「樟葉駅」で折り返した後、伏見の酒蔵が軒を連ねる「中書島駅」まで、電車に揺られながら京都の日本酒16銘柄を飲み比べる、約1時間40分の電車旅を満喫した。

午前中から多くの乗客で賑わう京阪「三条駅」

総距離約500kmにも渡る東海道五十三次を結ぶ街道の終着点「三条大橋」。参加者はその真横に位置する京阪「三条駅」に集合し、イベント列車の到着を待つ。16日の午前便には106名の参加者が集まった。

京阪三条駅

本イベントは事前予約制のため当日参加は不可であったが、駅構内の盛り上がりを見てスタッフへ当日券を確認する人も見受けられた。週末とはいえ、午前中から多くの人々で賑わう駅の雰囲気は本イベントならではといえる。

京阪 三条駅構内

若い参加者も少なくない中、前日の15日には最高齢となる91歳の方がいらっしゃったという。京都の日本酒が世代を超えて愛されている様子がうかがえるだろう。

特別仕様となった京阪電車に乗車!

京阪電車
「京都日本酒電車」の特別仕様になった車両が10時45分の出発に合わせて入線。乗客たちの歓声とシャッター音が迎える。

乗車し、指定された席に座ると日本酒が続々と配布されていく。おかわりはできないが、まるでわんこそばのようだ。

京阪電車

10時45分の定刻どおりに出発!伏見酒造組合理事である[北川本家]代表取締役 北川幸宏さんが、車内アナウンスによる乾杯の挨拶を行った。

北川さん「長年京阪電車に乗っていますが、車内アナウンスを行うのは初めてとなります。近年は京阪電車も自動音声が増えており、マイクを通してのアナウンスは貴重だそうです。それでは、本日ご参加くださいました皆様の旅の安全を祈願して乾杯!」

京阪電車 車内

乾杯酒は創業200年を超える伏見の酒蔵、キンシ正宗の純米吟醸山田錦。普段見慣れた電車の光景を背景に日本酒を楽しみ、和気あいあいとした会話で賑わう時間が始まった。

京都の銘酒を楽しみながら電車に揺られる

京阪電車 日本酒

今回参加した16日午前便では、京都の日本酒16銘柄が提供された。

  • [キンシ正宗]金鵄正宗 純米吟醸 山田錦
  • [招徳酒造]純米吟醸 花洛 もち四段
  • [玉乃光酒造]有機 純米吟醸 GREEN 雄町
  • [宝酒造]特選 松竹梅 純米大吟醸
  • [豊澤酒造]豊祝 純米大吟醸 祝
  • [月桂冠]大吟醸 生詰
  • [東山酒造]特別純米酒 坤滴
  • [佐々木酒造]古都 特別純米 福実鳥
  • [松井酒造]純米 神蔵KAGURA 無濾過無加水生酒 ルリ
  • [北川本家]富翁 純米吟醸 山田錦58
  • [増田德兵衛商店]平安京
  • [黄桜]特選 華きざくら 純米吟醸
  • [齊藤酒造]英勲 古都千年 純米吟醸
  • [松山酒造]十石 祝 純米吟醸
  • [城陽酒造]城陽 特別純米酒60
  • [山本本家]神聖 超辛口 特別純米原酒

京阪電車

1種類の量は30ml程度だが、すべて飲めば3合近い量になる。約1時間40分という時間を考慮すると、かなり満足できる量だといえるだろう。

京阪電車 日本酒とおつまみ

今回参加した午前便は気軽に楽しめる「お手軽・お酒のおつまみ付き」プランであり、午後便は伏見の料亭・[魚三楼]監修のおつまみ弁当とオリジナルグッズが含まれるプレミアムな内容となっていた。

いずれも日本酒に合うものばかりなので、ついつい杯も進んでしまう。

同乗する蔵人から日本酒を注いでもらう!

各銘柄の中から、乗車する蔵人の日本酒は直接注いでもらえる。16日午前便では、以下酒蔵の蔵人たちが、それぞれの銘柄の説明とともに、乗客一人ひとりへ日本酒を振る舞った。

  • [増田徳兵衛商店]
  • [松山酒造]
  • [黄桜]
  • [齊藤酒造]
  • [城陽酒造]

北川本家

▲車内アナウンスにて乾杯の挨拶を行った[北川本家]の北川幸宏さん

松山酒造

▲[松山酒造]の酒井美里さん

齊藤酒造

▲[齊藤酒造]の代表取締役社長 齊藤洸さん

酒蔵の方との会話を楽しみながら、直接お酒をいただける機会は滅多にない。日頃見慣れた電車内の景色が非日常に変わっていく。

先頭車両で蔵人との交流と記念撮影!

電車は11時14分、京都競馬場の最寄りとなる「淀駅」に停車。11時38分の出発まで一息つくと同時に、先頭車両にて同乗する蔵人たちとの撮影を楽しんだ。

京阪電車 集合写真

昨年、参加する蔵人が集まっての写真撮影はなかったが、多くの乗客が集まる人気コンテンツとなった。法被の背中側のロゴが並んだ場面では「おー!」という歓声が上がる。

京阪電車 集合写真

定刻通り電車は「淀駅」を発車し、再び日本酒を片手に車窓を楽しむ。

京都の日本酒と歴史が集まる会「中書島駅」で下車

11時47分、折り返し地点となる「樟葉駅」に到着した。先頭車両が入れ替わるため、普段は使用されない引上線において約10分間停車し、終点である「中書島駅」まで向かう。

引上線での停車中にも参加者と蔵人の会話は盛り上がる。普段から飲んでいる日本酒の感想、疑問など様々な話題で車内は活気づいていく。

京阪電車

12時7分に「淀駅」まで戻り、12時21分の発車まで再び休憩時間が設けられる。

そして12時26分、定刻通り「中書島駅」へ到着。「京都日本酒電車」は午後の出発準備へ向け、蔵人達を乗せ京阪「三条駅」まで戻っていった。

「中書島駅」周辺は伏見の酒蔵が数多く並ぶエリアであると同時に、幕末志士の坂本龍馬が京都の常宿にしていたという寺田屋など様々な名所が揃う。改札を降りた瞬間から、一気に京都の日本酒と歴史が感じられる駅前だ。

中書島駅

本イベントへの参加者には、伏見の17酒蔵約80銘柄が楽しめる「伏見夢百衆」の100円割引券が配布された。京都の日本酒を味わう旅はまだまだ続く。

贅沢な「コト消費」体験

昨年は「淀駅」での停車は1度だけだったが、今年は往復で2度設けられた。これは、お手洗い休憩の充実など、昨年の参加者の声を反映した点だという。さらに、蔵人たちとの記念撮影も新たに加わり、京阪電車の帽子をかぶっての撮影は、多くの参加者にとって思い出深い瞬間となった。

電車内でこれほど多くの銘柄を楽しみ、終着地点には伏見の酒蔵が立ち並ぶ。この贅沢な体験ができるのは、日本有数の酒処である京都ならではの魅力といえるだろう。

明治時代、伏見の日本酒は鉄道の発展とともに全国へ広がった。そして令和の今、日本酒は電車とともに楽しむ体験へと進化している。車窓からの景色に京都の風情を感じながら、時代を超えて愛され続ける日本酒の奥深さを味わえる素敵なイベントだった。


ライター:新井勇貴
滋賀県出身・京都市在住/酒匠・SAKE DIPLOMA・SAKE検定講師・ワインエキスパート
お酒好きが高じて大学卒業後は京都市内の酒屋へ就職。その後、食品メーカー営業を経てフリーライターに転身しました。専門ジャンルは伝統料理と酒。記事を通して日本酒の魅力を広められるように精進してまいります。

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