【開業秘話】
[平和酒造/紀土]が手掛ける「平和どぶろく難波醸造所」大阪難波で新たなチャンレンジに挑む!
どぶろくのブルワリーパブ[平和どぶろく難波醸造所]が大阪タカシマヤ内に2025年4月12日オープン。和歌山の酒蔵[平和酒造]が手がける直営店。大阪での新たなチャレンジをインタビュー。

これまで国内外でさまざまなチャレンジを続けてきた[平和酒造株式会社]がどぶろくのブルワリーパブ[平和どぶろく難波醸造所]を大阪タカシマヤ内に2025年4月12日オープン。大阪万博で活気溢れる大阪で取り組む理由を代表取締役社長 山本 典正さんに聞いた。
この方に話を聞きました

- 平和酒造株式会社 代表取締役社長 山本 典正さん
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プロフィール1978年生まれ、和歌山県出身。2004年に平和酒造株式会社に入社、2019年代表取締役社長就任。
1.大阪でチャレンジするどぶろく
「お酒をもっと気軽に、日常のものとして楽しんでいただきたい」というコンセプトのもと、どぶろくを店内で醸造し、できたてを提供するブルワリーパブスタイル。2022年6月に東京都日本橋兜町に誕生した「平和どぶろく兜町醸造所」は、国内の方はもちろん海外からの観光客も連日多く来店し、思い思いにお酒を楽しんでいるという。今回2店舗目にあたる平和どぶろく難波醸造所は大阪を代表する観光地である難波、大阪タカシマヤ地下1Fに位置する。
「タカシマヤさんの協力もありいい場所に出店できました」と山本さん。
大阪メトロ御堂筋線「なんば駅」をはじめ最寄り駅から徒歩5分程度と好アクセスだ。
東京、大阪と都市部で展開する理由については「都市部で日本酒を表現したいという想いからです。ここから若い方やこれからの人、日本酒を初めて飲む人に届けていきたいです」難波は和歌山にある平和酒造より電車で1時間半ほどという立地だけに大阪は親近感ある場所だという。
日本酒の中でもどぶろくをメインに置く理由について、「どぶろくはカジュアルな日本酒だと思っています。また様々な発酵技術や副原料を使うことが許されているので、キャッチーに楽しんでもらいたいです」と山本さん。
日本酒の祖先ともいえるどぶろくは、清酒と異なりもろみを濾さない分、米がもつ本来の豊かさ、ふくらみをより感じることができる。日本酒よりアルコール度数が低く、副原料を使った様々なフレーバーのどぶろくも醸造できることから、お酒の初心者でも気軽に楽しむことができる。そんなどぶろくをよりカジュアルに、そして身近に楽しめる場所となっている。
フレッシュなどぶろくを提供

醸造を管理する取締役/杜氏の柴田英道さん
実際に店舗でどぶろくを醸造、蒸し、麹つくり、発酵までの全行程を実施している。
醸造所は想像以上にスモールサイズとなっており、奥に見えるスチコンが甑(こしき)と室の代わり。10~15ℓのミニタンクで1日約5本から10本を醸造している。
「東京はもっと狭いですよ。まさにラボのような感じですね」と柴田さん。
発酵は10日〜2週間かけて行っており、店頭ではミニタンクからすくい立てのフレッシュな一杯を堪能することができる。どぶろくは常時3種がスタンバイし、現在は桜、抹茶、柚子が堪能できる。
「今後は和歌山の柑橘など関西らしい味わいのフレーバーにも取り組んでいきたいですね」と柴田さん。

プレーン 550円/70mlとしらすと大根おろし 450円
米と米麹だけを使った平和どぶろくの基礎とも言える一本。
米は自社で栽培した山田錦を使用しており、大粒の米の食感と甘さが際立つ。
ぷちっと弾ける発酵由来のガス感が米本来の味わいやコクを感じさせてくれる。
バーで提供するどぶろくは火入れを行わないため、できたてはプチプチとしたガス感を口の中で感じられてとてもフレッシュ。また数日経って熟成が少しずつ進むと旨みや香りの奥深さが増していくことによる、味わいの違いも楽しめる。

期間限定の桜と抹茶
期間限定の桜と抹茶。
桜は塩漬けした桜の葉をプラス。
香りづけの一役を担う。
日本酒はもちろん、ビールやフードも充実
平和酒造は、山々と田畑に囲まれた豊かな自然環境のもとで、日本酒「紀土」、ビール「平和クラフト」、リキュール「鶴梅」の3ブランドを軸に酒造りを行っている。バースペースではフレッシュなどぶろくはもちろん、紀土・平和クラフト・鶴梅などの平和酒造のお酒を気軽に楽しめるほか、物販スペースではお酒の購入も可能。
フードは本社のある和歌山県産の食材や料理にこだわり、粒の大きなしらすや味わい深い灰干しの魚、地元の名産である金山寺味噌を使ったメニューなどをご提供している。どぶろくをはじめとするお酒との相性も抜群で、紀州の風土を感じながら楽しいひと時が体感できる。和歌山の「丸田屋」のラーメンやどぶろくが入ったどぶろくカレー、アテやスイーツなど豊富にラインナップ。
大阪から世界へ発信
今回の「平和どぶろく難波醸造所」開設はとても大きなチャレンジだという。
大阪・関西万博の開催もあり、これまで以上に国内外からの注目が集まる難波。またざまなな商店が混在しており、独自のカルチャーや雰囲気を持つ大阪随一の繁華街だ。多種多様なヒト・モノが集まる場所だからこそ、難波は歴史を大切にしながらも新しい文化を積極的に取り入れる風土が備わっている。
「都心で人がいる中での酒造りの大切さ、日本酒をやる意味を日々感じている。若い世代から海外に向けて発信していきたい」と山本さんは意気込む。
平和酒造の新たなチャレンジを通して酒の明るい未来が切り拓かれていくだろう。
文:Sake World 編集部


平和どぶろく難波醸造所
- 住所
- 大阪府大阪市中央区難波5-1-5大阪タカシマヤ地下1階西ゾーン
- TEL
- 06-6632-9300
- 営業時間
- 物販 10:00~20:00 飲食 12:00~21:00
- 定休日
- 大阪タカシマヤに準ずる