福岡といえば、魚に肉をはじめ九州の新鮮な食材が集まる街。良い素材が揃う場所だけに、地元の人々の味に対する意識は高い。今回は予約必須、ハズレ無しの人気店3軒を紹介。

博多駅構内ほろよい通りで昼飲み［さかなや食堂 博多 辰悦丸］

電車の待ち時間まで時間がある時、少し小腹が空いた時、ランチの時間やさくっと飲めて美味しい料理を土産話にしたい時、会社帰りにちょっと一杯……そんな願いを叶えてくれる店舗が博多駅にはある。

博多駅筑紫口にある海鮮酒場。通勤客や国内旅行者、海外から訪れた人々などでいつも賑わっている。店長の安永さんは無類の魚好きで、魚が美味しくなるメニューでもてなしてくれる。鮮度自慢の魚メニューと価格は魚屋直営だからこそ。

日本酒は常時10数種類あり、月ごとに変わるおすすめが日本酒好きの心を惹きつける。
駅構内店で昼飲みOKという強みが魅力。

左：まかない刺し身（胡麻ダレ）上：カンパチ頭（カマ付）右：だし巻き明太のせ

安永さんおすすめの3品。大ぶりに切り分けられたサーモン、はまち、鯛、ウスバカワハギのお刺身に上品な色合いの自家製の胡麻ダレをたっぷりとまとわせた「胡麻ダレまかない刺 990円」一枚一枚が分厚くて食べごたえが抜群。新鮮な魚の味をさらに引き立ててくれる胡麻タレが美味。

刺し身のほかには、焼き魚や煮付けもおすすめ。この日は「カンパチ頭（カマ付）1200円」を。ドーンと大きな塩焼きはポン酢か、醤油で。皮がパリパリで塩の塩梅がちょうどいい。 ご飯もお酒も進む一品。

「だし巻き明太のせ 590円」は繊細で丁寧な味。明太のソースがアクセントになって、お酒のアテにぴったり。

辰悦丸の日本酒ラインナップの中からおすすめの3銘柄をセレクトしてもらった。

・純米ひやおろし 開運  180ml 630円
静岡／土井酒造場
Al16% 山田錦100％ 精米歩合55％

1本目は月替りの限定酒で「純米 ひやおろし開運」が飲むだけでご利益がありそうなネーミングも嬉しい。フルーティーな風味ながらしっかりとしていて、上品さも感じられる。戻り鰹など濃いめの刺身に合う食中酒。月替りの限定酒ながら人気で3週間ほどで完売してしまうとのこと。

・博多一本〆  110ml 480円
福岡／株式会社高橋商店（繁桝）
Al16% 精米歩合55％

2本目は「特別純米 博多一本〆」看板商品の一つで日本酒本来の濃い味わいで呑み口はとろみがあり、まろやかさが特徴的。これからの鍋が美味しい季節は一緒に飲むとさらに料理を引き立ててくれる。

・超辛口純米酒 博多の森 110ml 480円
福岡／株式会社小林酒造
Al15~16% 福岡県産山田錦100％ 精米歩合60％

最後に勧められたのは「萬代 超辛口純米酒 博多の森」小林酒造で醸造された王道の一品。クラシックな呑み口とすっきりした後味で辛口のお酒好きには、たまらない。魚にも肉料理にも合わせやすい。

▲左より安永店長、槻木調理師、瀬戸副店長

店長の安永さんは「今後は楽しいことをやっていきたい、お客様に満足してもらえることを何より大切にしていきたい。エンターテインメントな演出にも挑戦していきたいです」

店員さんがとても元気が良くてスタッフさん同士の仲が良さそうなことが印象に残った。まるで昔の商店街の魚屋さんを彷彿させる。活気ある声とお客さんの賑わいが店の人気を物語っている。

※物価高騰のため、掲載の料理価格、お酒の価格は変動する可能性があります。

■さかなや食堂 博多辰悦丸
福岡県福岡市博多区博多駅中央街１−１博多デイトス１Fほろよい通り
営業時間：11:00～23:00時（LO22:00）
TEL：092−441−9077

常連客多数！居心地抜群の居酒屋［人参公園前 博多たいな］

博多駅より徒歩7分。人参公園前に小さな看板がひっそりと置かれている「博多たいな」。きさくな店長とスタッフの心遣いがほっとするような、福岡の中心街で働く人々の癒やし的存在。

お店に入ると明るい笑顔のスタッフで出迎えられる。思わず、「ただいま」と言ってしまいそうな安心感。ここでは、”当たり前のサービス”が粛々と続けられている。これこそが、まさに居酒屋の形であり、日本においての［おもてなし］がしっかりと息づいていると言える。

メニューは、仲卸から仕入れた自慢の魚と、家庭料理が定番。魚は魚屋を通さず、仲卸から仕入れるこだわりよう。カウンターに並ぶ家庭料理からはさつま揚げがおすすめ。かまぼこ屋からのすり身を使用し、野菜をふんだんに使った大きめサイズに定評がある。

びっくり肉じゃが 1,408円

人気の肉じゃが。見よ、この照り具合。じゃがいも、人参、牛のほほ肉がしっかりと味付けされているのが分かる。濃厚な醤油の甘み、肉の旨味が口の中を駆け巡る。一口サイズにできるようにナイフとスプーンが添えられる心遣いも嬉しい。

日本酒のラインナップを見ると福岡の銘柄を中心に九州の地酒もラインナップ。
まずは、おすすめとして佐賀県から。

・佐賀／純米酒 東一 グラス 649円/一合 869円
純米酒 山田錦100％ 精米歩合64％ Al:15％
とろりとした飲み口で後味にキリッとした旨味が特長の「東一」。
ラベルがきれいな青いストライプで爽やかなイメージ。

・2本目は、同じく佐賀県よりモダンタイプ。
佐賀／特別純米酒 超辛口 天吹 グラス649円 一合869円
特別純米酒 佐賀県産山田錦100％ 精米歩合60％ Al:15％
鯛味噌といっしょにいただくとよりお互いの味を格上げしてくれる。日本酒独特の香りは強すぎないにも関わらず、しっかりとした味わいとキレの良さが食事をうまくもり立ててくれる。

・3本目は、黄色いラベルが目を引く
岩手／純米酒 よえもん（酉与右衛門）グラス649円 一合869円
岩手県の日本酒で、口に含むと香り高く軽い飲み口で後味はすっきりとしたモダンスタイル。
個人的には、ラベルの印象が強かったため、繊細なテイストとのギャップに拍子抜けした感があったが、美味しいお酒であることに間違いはない。

料理にもお酒にも自身があって、お客様を喜ばせたいという、あたたかな気持ちがこもった「博多　たいな」今後も福岡の地元民の喉を唸らせていくことだろう。

■人参公園前 博多たいな
福岡市博多区博多駅前4−11−13花ビル1Ｆ
営業時間：月～土17:00～3:00　日 17:00～24:00
TEL：092−483−8125

鹿児島県産地鶏が堪能できる焼き鳥［ちんぷんかんぷん 博多ハナレ］

博多駅博多口より徒歩8分にある大人の焼き鳥店。看板がなく、秘密基地のような不思議な空間なので、ゆっくり落ち着いて飲食ができる。

店内はゆったりと寛げるカウンター席に、個室空間。焼き鳥屋とは思えない雰囲気が料理への期待感も高めてくれる。鹿児島県霧島から取り寄せた「きさ輝地鶏」を毎日、丸ごと捌くいて提供しているという。

▲左より月見つくね 、とりトロ 、だきみ（本わさび）全て１本308円

定番で人気の3種類の焼鳥から。見た目がどれをとっても美しい仕上がりで、焼き手の繊細な技術が活きているものばかり。
お店で一番人気という、だき身は皮がパリッと焼かれており、胸肉のような柔らかい食感とジューシーな肉汁が特長。生ワサビが美味しさをより格上げしている。
とりトロは、緑があざやかなアスパラと交互に串打ちされており、あっさりとした味わいと筋が一切ないアスパラが相性抜群。メニューに載っていない隠れた一品だ。
月見つくねは、しっかりとした肉の食感と厚み。鶏肉の旨味が感じられ、月見たれにつけることでまろやかさを奏でている。あっさりとしてコク深い肉汁がとじこめられた食べ応えがある一品。
希少な地鶏を余すことなく使用した鶏料理の数々に博多っ子の舌が唸る。

もちろん日本酒は欠かせない。九州の地酒はもちろん、全国で料理に合うお酒を最適な温度で提供してくれる。

1本目は、焼き鳥とよく合うという日本酒。
・三重県／作 ‐ZAKU- 純米 玄乃智  グラス120cc 850円
Al：15％ 精米歩合：60％
「作 ‐ZAKU-」まろやかですーっとしたのど越し。くせがなく、濃厚な焼き鳥の風味をそがないところが魅力。

2本目は宮城県「伯楽星」ラベルの文字が蔵元のこだわりを見せている。
・宮城／伯楽星 特別純米 グラス120cc 700円
Al：15％ 精米歩合60％
少し甘みが強い食中酒でフレッシュな香りがとてもフルーティー。飲みやすいお酒で日本酒を普段飲まない人でも、チャレンジできそうだ。

最後に（福を呼ぶ旨酒）の赤ラベルが目を引く、山形県「赤福助」超辛口。
・山形／赤福助 特別純米生酛仕込 超辛口 グラス120cc 700円
Al：15〜16％ 精米歩合55％
味わいはモダンに感じられた。しっかりとした日本酒感とスッキリ後味が鳥料理に適したお酒だ。

焼き鳥だけではなく、お酒のアテもすべてが計算しつくされた完成度。店に入るときから帰るまで、ワクワクする体験ができますよ。

■（ちんぷんかんぷん）博多ハナレ
福岡市博多区博多駅前３−２２−７福岡ｏｎビル２・３Ｆ
営業時間 17:00～25:00
TEL：092−600−2128

ライター：シヴァ
福岡県在住／保育士・Webクリエイターエキスパート所持・IT講師
地域ブログ運用、社内報特派員を経て、フリーライターに転身。電子書籍「子どもの心配をやめたら自分も子どもも自立した話」は、Amazon　Kindleキャリア部門1位獲得。好みのお酒は、モダンでもしっかりとお米の旨味が感じられるタイプ。趣味は家飲み、ゲーム、推し活、読書、旅行