純米生どぶろく「朝光」
福光酒造株式会社 | 広島県
福光酒造
廃墟となった酒蔵を、地元住民と共に修復。どぶろくとワイン造りで新たに酒蔵を復活させる。原料作りから瓶詰めまでを蔵の4代目、福光氏が手がける。
標高が高い北広島町大朝、明治初期創業の高杉酒場を継承する形で1933年に創業。旧大朝町内での販売を主体とする清酒「朝光」は、地元の冠婚葬祭やお祭りに欠かせない存在だった。ところが2006年、杜氏も兼ねていた3代目が病に倒れ日本酒酒造免許を国に返納。蔵を継ぐために他県の酒蔵で武者修行していた創業者の曾孫にあたる福光寛泰氏が、2015年に4代目に就任した。
廃墟となっていた酒蔵の修復に手を貸してくれたのは地域の住民や大学生だった。国の取り決めで、新たに日本酒酒造免許の取得は出来ないことからやむなく断念、町が有する特区免許でどぶろくとワインを製造することに決め、すぐに葡萄栽培を開始。どぶろくには、廃業前に日本酒造りに使っていた広島独自の米・こいもみじを採用し、その頃にはすでに作り手がなかったため、地元農家と手を取り栽培を復活させた。
地域への感謝を込め、洗米から瓶詰めまで福光氏が一人で手掛ける小造り。親しみやすいようにと度数を抑え、食中酒として楽しめるようにと辛口に仕上げている。中には葡萄酒酵母を使った珍しいタイプも。戦後の粗悪品のイメージを払拭する令和のどぶろくを堪能してほしい。