My Sake World

誰もが日本酒クリエイターになれる時代!
プロデューサー上山賢司が[My Sake World]の構想に答える

web3.0、NFTなどの新技術を通して日本酒の可能性を広げてきた Sake World が2024年1月23日にオリジナル日本酒体験施設[My Sake World 御池別邸]をオープン。複数銘柄の「ブレンド」を通して、世界で一つしかない味わいを生み出せる体験型施設だ。Sake Worldプロデューサーの上山賢司がMy Sake Worldの構想と2025年目標に答える。

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―日本酒に新たな楽しみ方を提案する

「日本酒を世界に」というキャッチフレーズから日本酒事業をスタートさせた「Sake World」
日本酒メディアを皮切りにNFTの最新技術を組み込んだ「Sake World NFT」、ブレンドによる新たな日本酒を提案する「Assemblage Club(アッサンブラージュ・クラブ)」、そして2025年にスタートするのが「My Sake World」だ。

「My Sake World」はブレンドという形で、個人で自分好みの日本酒づくりができる体験型施設。自ら日本酒をブレンドすることで、自分好みの味わいにカスタマイズし、世界にひとつだけのオリジナルブレンド日本酒「マイサケ」を作ることができる。さらに、オリジナルブレンドで作った日本酒のレシピは「マイレシピ」として「Sake World NFT」上に保管されるため、いつでも発注が可能。大切な人へのプレゼント用に発注するなど、体験の後も楽しみ方が広がるのが魅力だ。

今回日本酒のブレンド、「My Sake World」の構想について Sake World プロデューサー 上山賢司が答える。

※発注は2025年3月を予定。ブレンドに使用する日本酒の銘柄変更や酒蔵での在庫がある限り。

この方に話を聞きました

株式会社リーフ・パブリケーションズ Sake World プロデューサー 上山賢司
プロフィール
Sake Worldのプロデューサーを務め、2024 Mr SAKE グランプリにも選出される。唎酒師の資格を保有しており、チーフ・ブレンダーとしてアッサンブラージュ・クラブの商品開発にも携わっている。

誰もが日本酒クリエイターになれる施設

―My Sake Worldで体験できることを教えてください。

上山「My Sake Worldは世界に1つだけの『マイサケ』ブレンドが行える施設です。12種類のお酒の中からプライマリー(1番好きなお酒)を1つ、セカンダリー(2番目に好きなお酒)を2つ、合計3つのお酒を選んでもらい、自由にブレンドできます。

40mlでのブレンドを2回行い、最終的に完成したものを200ml容器でお持ち帰りいただけます。ブレンドレシピはNFTで保管しますので、いつでも購入することも可能。家族や友人との集まりで提供する、結婚式の引き出物として作るなど、誰もが自分だけの日本酒を創作できる施設です。」

ブレンドする12種類の日本酒が並ぶ

―日本酒の知識がなくても大丈夫でしょうか?

上山「ナビゲーターが解説したうえでブレンドを行うため、誰でも楽しめるようになっています。12種類の銘柄はそれぞれフルーティな香りが特徴の『吟醸酒系』、旨味の強い『純米酒系』、酸味が強いものや白ワインのような特徴を持つ『モダン系』、そして『熟成酒系』に分けて提供します。全て試飲した上で、自分の好みの香味を選んでいきます。

また、日本酒製造のおおまかな知識、そして歴史的背景など簡単な座学からスタートしますので、日本酒に親しみ慣れていない方でも安心して参加できます」

―通常の日本酒バーと異なる点はありますか?

上山「小難しいことはいいませんが、少しだけ体系的に日本酒が学んだ上で試飲できる点は差別化されていると思います。バーなどでは『これが吟醸香です』などとは教えてくれません。『精米歩合』や『酵母』などほんの少しの知識を持つだけで、自分の作品づくりだと感じながら利き酒することで日本酒全体の解像度が上がる。お酒のブレンド作業を通して、クリエイティブな気持ちも味わっていただけます。提供する12銘柄は季節によって変えていきますので、何度でも新しいブレンド体験を楽めます」

ブレンドを通して新しい香味を生み出す

―「ブレンド」という体験を取り入れたきっかけは?

上山「もともと醸造免許を持たない弊社は米から醸す酒造りはできませんでした。それでも自社としての日本酒を造りたいと考え、既存銘柄をブレンドして新しい香味を生み出すアイデアに至りました。当時コロナ禍で日本酒が売れない時に、そのままお酒を眠らせるのはもったいないと思い、新しい付加価値を検討し『Assemblage Club』が生まれました。京都の老舗3酒蔵さんに協力していただき、ブレンドならではの新しい味わいを生み出すことに成功しました。どこの蔵にもノウハウがなく手探りの状態でスタートしましたが、最近では『日本酒をブレンドする時代がきたらしいよ』と注目してもらえるようになりました。根本は『Assemblage Club』の開発を通じて、自分たちでやってみた結果、理科の実験をしているような感覚でとても楽しかったんです。その楽しさ、美味しさとブレンドの秘めた可能性を肌で感じ、『世界にひとつだけ、自分だけの酒を作る』喜びを日本酒ファンの皆さまと分かち合いたいという想いがきっかけです。」

ブレンドに使用する道具。メスシリンダーで容量を測り、フラスコで混ぜ合わせる。

―日本酒をブレンドすることは珍しいことなのでしょうか?

「江戸時代から現代に至るまで、各タンクごとにできたお酒の味わいを平準化させるためのブレンドは行われています。味わいを厳密な調整をする酒蔵もあります。例えば灘の銘酒『剣菱』ではブレンダーという仕事が存在し複数のお酒を混ぜ合わせて造っており、飲んだ時の味わいの厚みはブレンドで生まれたものだと感じられます」

―蔵を超えたブレンドはこれまでにあったのでしょうか?

「江戸時代の酒蔵は、酒屋へ造ったお酒を樽で納品していました。お客さんは酒屋が貸し出す容器である通徳利(かよいとっくり)を持ち、樽からお酒を汲んで売ってもらっていたんです。その際、酒屋の店主はお客さんの好みに合わせて、お酒を混ぜ合わせるようなこともあった。My Sake World はこうした作業を現代版に焼き直し、お客さんが楽しみながら自分好みにカスタマイズできる体験型施設になります」

―他酒蔵とのブレンド許可は苦労されたのでは?

「実はそうでもないんです。My Sake World のオープンにあたって、多くの酒蔵にお声がけさせていただきました。その結果、ほとんどの酒蔵から許可を得ることができました。その際、『面白いね』『日本酒の世界が広がる』といった応援コメントを多数いただいています。現在は約40蔵からの許可をいただいていますが、今後もその数は増えると見込んでいます。この柔軟さが日本酒業界はもっと伸びると感じました。」

―日本酒のブレンドが普及して来なかった理由は?

「ブレンド作業はワインやウイスキー業界では普通に行われています。特に、シャンパンやボルドーワインのほとんどはブレンドで造られています。ワインはぶどうの出来栄えが大きな影響を与えるため、冷涼でぶどう品質が不安定な地域では味わいを均一化させるために必要な作業なんです。こういった背景から、ブレンドは原酒の不安定感から生まれたものだと考えられます。

一方、日本酒は酒造技術によって香味の調整ができる点が大きいと思います。毎年のお米の出来栄えが違っても、杜氏の腕によって安定した味わいに持っていくことができるんです。ブレンドをする必要がなかったことは、日本酒の特徴の1つといえるでしょう」

―今後の店舗展開の構想は?

上山「My Sake World で提供している体験は日本酒だけでなく、ワインやウイスキーといったその他酒類にも展開できます。元々ブレンドで香味調整を行う世界ですので、展開自体はスムーズに進められるでしょう。

また、Sake World事業の一環として2024年11月に岡山県の酒蔵をM&Aによるグループ化しました。Assemblage Clubの製造は酒蔵へ委託をしていますが、受注数の増加に対応できないことから自社で対応できるようにしたんです。300年近くの歴史を持つ酒蔵ですので、これまでのDNAを残しつつも、My Sake World で制作したレシピの受注製造などブレンド蔵としての機能も拡充させていこうと思っています」

My Sake World が提供するブレンド体験は、まさに「能動的な飲酒」だ。出来上がったものをただ飲むのではなく、自分の手で創り出す楽しさがある。好きな料理を作ることは難しくないが、日本酒でこれに近しい体験ができるとは考えていなかった。「好みのお酒を造りたい」というニーズに応える施設として、国内外から大きな注目を集めるだろう。

ブレンドするからこそ、各銘柄の香味に真剣に向き合い、これまで気が付かなかった意外な一面を発見できる。My Sake World は世界でただ一つの1本を創り出せる特別な場として、日本酒に新たな価値を与え続けていくはずだ。

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ライター:新井勇貴
滋賀県出身・京都市在住/酒匠・SAKE DIPLOMA・SAKE検定講師・ワインエキスパート
お酒好きが高じて大学卒業後は京都市内の酒屋へ就職。その後、食品メーカー営業を経てフリーライターに転身しました。専門ジャンルは伝統料理と酒。記事を通して日本酒の魅力を広められるように精進してまいります。

My Sake World 御池別邸

My Sake World 御池別邸

住所
京都府京都市中京区姉小路通富小路東入る福長町123Googlemapで開く
TEL
075-600-9226
HP
https://sakeworld.jp/special/2411-kyoto-mysakeworld-oike/
営業時間
11:00~12:30、13:30~15:00、16:00~17:30(各回90分制)
定休日
不定休

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