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【豆知識】「菊酒」とは?秋の深まりを告げる菊酒について知りたい!

重陽の節句に健康長寿を願って飲むお酒「菊酒」。重陽の節句は9月9日ですが、本来の菊の季節の10月に楽しむという考えもあります。菊酒の由来や気になる作り方について、唎酒師の藤田えり子さんが解説します。

食用菊
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旧暦9月9日は重陽の節句

9月9日は五節句の一つ、重陽の節句です。五節句とは、ほかに1月7日の人日(七草)の節句、3月3日の上巳(桃)の節句、5月5日の端午(菖蒲)の節句、7月7日の七夕(笹竹)の節句をいい、9月9日の重陽の節句は別名「菊」の節句と呼ばれます。

節句という考えは、古く平安時代に中国の唐から伝わりました。奇数は「陽の気」を持ち、奇数が重なる特別な日は縁起が良いとし、9の文字は陽数の中でも最大なので、特に「重陽の節句」となりました。

水辺の菊

本来の季節の10月に菊酒を

でも別名を「菊」の節句とはいうものの、実際に菊が見頃を迎えるのは10月から11月頃。9月では早すぎるように思いますが、それもそのはず元は旧暦の9月9日をさしており、現代のこよみでは10月の中旬。2024年の今年は10月11日にあたります。

重陽の節句には健康長寿を願って「菊酒」を飲むという風習がありますが、昔の日本人が感じていた本来の季節に倣って、風流に10月の菊酒を楽しむのはいかがでしょうか。

菊酒

菊酒には花びらを浮かべて

菊酒の作り方は、冷酒に菊の花びらを数枚浮かべるだけと簡単。または菊の花を一晩漬け込む方法もあります。菊の花は香りが良いだけではなく、ビタミンを豊富に含み、殺菌解毒作用があるといわれています。お刺身に菊の花を添えるのは単なる飾りではなく、薬味や毒消しの理由があるのです。

菊とお造り

もちろん使用するのは、食用の菊にしてくださいね。大きめの八百屋さんや百貨店の野菜売り場には置いてあることが多いです。

「菊」の付く日本酒いろいろ

日本酒の名前には「菊」が付くものがたくさん。これは中国に伝わるお話し、ある川の上流に多くの菊が咲き、菊花の露が滴る川の水を飲んだ村の人々が長生きをしたという「菊水伝説」からという説があり、重陽の節句の「菊酒」もこの伝説に由来しています。

時にはこんな「菊酒」もいかがでしょうか。

美濃菊 純米大吟醸中汲み原酒 冷蔵熟成三年
「造りの優れた日本酒は適度な熟成によって至高の旨味を得ることができる」という考えのもと、蔵元の冷蔵庫で三年以上寝かせて出荷。優美な香りと柔らかな米の旨味を感じる逸品。

美濃菊 純米大吟醸中汲み原酒 冷蔵熟成三年 玉泉堂酒造

酒造名:玉泉堂酒造(岐阜県)
特定名称:純米大吟醸酒
原材料:米(国産)、米麹(国産米)
精米歩合:35%
使用米:兵庫県東条産特A地区「山田錦」
フレーバー:ライチ
アルコール度:16%
酵母:熊本9号

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菊泉 ひとすじ
シャンパン製法を応用した瓶内二次発酵による透明なスパークリング純米酒。爽快な甘みと乳酸、リンゴ酸由来の酸味が心地良く、繊細で強い炭酸感があり、和食はもちろんフレンチやイタリアンにもぴったり。

菊泉 ひとすじ

酒造名:滝澤酒造(埼玉県)
特定名称:発泡系・スパークリング
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
精米歩合:60%
使用米:さけ武蔵、五百万石
フレーバー:洋ナシ
アルコール度:12%

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季節ごとの楽しみがある日本酒

春は花見酒、秋は月見酒、冬は雪見酒、四季折々の節目や行事にお酒はつきものです。菊の香りで秋の深まりを感じる、豊かな感性は日本人ならでは。今年の秋はちょっと雅に菊酒を楽しんでみませんか。


ライター・唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。

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