酒屋に聞く

仙台駅のお土産におすすめ!「むとう屋 仙台駅店」で買えるとっておきの宮城の日本酒5選

「純米酒の県」として多くの酒蔵が純米酒作りに精を出す宮城県。JR仙台駅ではそんな宮城の日本酒事情を知り尽くした専門店がセレクトする、とっておきの日本酒を購入することができる。仙台観光の際にはぜひ、今まで知らなかった宮城の日本酒との出会いを楽しむお土産選びを。

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JR仙台駅西口の飲食ゾーン「tekuteせんだい」内にある酒屋[むとう屋 仙台駅店]。本店は日本三景松島にある宮城の日本酒専門店「むとう屋」で、宮城県の23酒蔵による約100銘柄の地酒、宮城県産のクラフトビール、東北産のワインやウイスキーなどを取り揃える。

2021年4月にオープンしたお店は明るくキレイで、若い人でも入りやすい。そんな[むとう屋 仙台駅店]店長である佐々木さんに宮城の地酒の魅力やおすすめ商品を聞いた。

この方に話を聞きました

株式会社むとう屋 常務取締役/仙台駅店店長 佐々木栄太さん
プロフィール
宮城県出身。日本三景松島の本店に構える、宮城の日本酒専門店「むとう屋」の常務取締役として2021年4月にむとう屋 仙台駅店をオープン。宮城の酒蔵との取引や地酒のセレクトなどを行う。

笑う酒には 福来たる!食事と共に楽しめる純米酒が多い宮城

100種類以上の商品を取り扱う宮城の日本酒専門店だけあり、取引先は宮城の酒蔵とここだけで購入できるPB商品も多数展開する。酒蔵に足を運び、酒造りの背景や蔵元との深い関係性を大切にする。「ストーリーも含めて日本酒の魅力なので、お客さんとお話しながらお勧めしています」と佐々木さん。

宮城の日本酒の特徴は全体的な水準の高さ。スッキリと味わいやすく、食事と共に楽しめる純米酒が多い。宮城の酒造好適米「蔵の華」はもちろん、ヒトメボレやササニシキなど飯米を使った日本酒も多く、高い醸造技術で美味しい日本酒を作り続けている。「代替わりして若い蔵元も増えてきました。スペックの高い代表銘柄を軸にしつつ、コンセプトや季節商品で差別化しながら各酒蔵が個性を出しています」と佐々木さん。

佐々木さんおすすめの日本酒5選

「どれもお勧めしたいけど、ぜひ飲んでもらいたいのはこれです!」と佐々木さんに[むとう屋 仙台駅店]で出会える5本を選んでもらった。

・田中酒造店「真鶴 山廃特別純米生貯蔵原酒」

「無濾過で寝かせた辛口のお酒。うちの専務がフォントを書いている愛着のあるむとう屋限定のPB商品です。濃厚でボディがあり、酸味も楽しめる味わいです。口に入れたときにしっかりボリュームがあって飲みごたえが充実していて、他にはない味わいが楽しめると思います。度数が高いのでオンザロックでの飲み方がおすすめですね」

720ml/1,936円
アルコール/16度以上17度未満
原料米/蔵の華
精米歩合/60%

・川敬商店「黄金澤 山廃純米酒」

「川敬商店は女性の杜氏さんが頑張っていて、酒質がここ数年でさらによくなっている酒蔵です。山廃純米酒は『真鶴 山廃特別純米生貯蔵原酒』のように酸味や濃厚さが出るんですが、ここはまた違って山廃のコシの強い作り方をしながらもスッキリさせたいというコンセプトで作っています。サラリと飲めて透明感のあるお酒で上品な味わい。冷やさずに常温でもとても美味しく、ぜひ白身魚と合わせていただきたいイチオシの一品です」

720ml/1,540円
アルコール/16度
原料米/ひとめぼれ
精米歩合/60%

・中勇酒造店「花ノ文 雄町 特別純米」

「中勇酒造店は老舗の酒蔵で『天上夢幻』が代表銘柄。跡継ぎの息子さんが酒蔵に戻ってきて、名前を冠した商品を作ったこの『花ノ文』は誕生してまだ10年ほどで若い銘柄です。特約店商品なのでまだ酒販店にしか並んでおらず認知度も低いのですが、うちはこっちを激推ししています。大吟醸を作るように丁寧に低温発酵しながら作っているので、辛口の爽やかな口当たりの後にお米のコクがキリっと来るバランスが絶妙。とても完成度が高いお酒だと思います」

720ml/1,650円
アルコール/15度以上16度未満
原料米/岡山県産雄町
精米歩合/60%

・阿部勘酒造「純米大吟醸 松島の吟風」

「うちの会長が作ったお酒で誕生から20年以上経ちました。松島の農家にお願いして作ってもらった松島産の『蔵の華』を隣町の塩釜市にある阿部勘酒造さんに作ってもらっています。大吟醸スペックのお酒は香りが華やかで飲みやすい特徴がありますが、これは全く違って穏やかな香りでスッキリ辛口。しっかり冷やしてお食事と合わせてもらいたいです。僕もたまに飲みますが、会長はいいものを作ったなとしみじみしますね」

720ml/2,750円
アルコール/15度原
料米/蔵の華
精米歩合/45%

・「宝船浪の音 浪庵 純米大吟醸」

「兵庫県産山田錦を使っている純米大吟醸で、すごく華やかに香りを立てて甘さを残す味わいが絶品です。名取市にある佐々木酒造店は2011年の震災で甚大な被害を受け、蔵が津波で流されてしまったのですが、数年前に再建して酒造りを再開しました。まだまだ生産量が多くないものの、このお酒は県外にもファンが多いです。うちにもよく問い合わせが来ます。リッチな味わいなので洋食やバターを使った料理とのペアリングもおすすめです!」

720ml/2,465円
アルコール/15度
原料米/山田錦
精米歩合/45%

お酒が飲めない人でも甘酒シェイクを片手に日本酒選び

店内奥には「tekute せんだい」開業前まで現店舗向かいで運営していた「仙臺驛日本酒バルぷらっと」の継続となる「角打ちぷらっと」も併設。蛙をコンセプトにした親しみやすい内装で誰でもふらっと立ち寄れるため、地元の人や観光客の常連も多い。

「角打ちぷらっと」ではその時々で仕入れたおすすめの日本酒を有料試飲することができる。ラインナップは1週間ほどで入れ替わりそうで、いつ行っても新しい宮城の日本酒との出会いがあるだろう。

またアルコールが飲めない人のためにノンアルコールの自家製甘酒のほか、酒粕を使ったシェイクやソフトクリームなども展開。学生や子どもも楽しめるので、ファミリーでもお酒が飲めない人でも足を運びやすい。

酒粕使用の「しぇいく」(300円)をいただいた。濃厚なミルクの甘さがありながらも、酸味やコクが口いっぱいに広がる。クリームチーズのような風味があり、リッチな口当たりを楽しめた。取材中もこのシェイクだけをテイクアウトして行く高校生や、その日の気分で選んだ1杯をクイっと飲む女性などが目立ち、女性や若年層のお客さんからの人気の高さがうかがえた。

またお酒以外にも宮城を中心に全国からセレクトした調味料やおつまみを展開している。宮城の海の幸や牛タン商品など、手土産に買いやすいサイズ感も多い。試飲した日本酒とのペアリングにおすすめのおつまみも佐々木さんと会話しながら選ぶと楽しそうだ。

会話を通して本当に好きな日本酒との出会いの一助に

佐々木さん「日本酒は特別扱いせず、普段使いとして日常的に飲んでほしいですね。私は日本酒そのものより蔵元さんの人間性が好きなので、彼らの思いや背景を知ることでより日本酒を楽しんでほしい。辛いのが好きと一口に言っても、『辛い』という表現や感覚は人によって違う。なるべく話してお客さんの好みをヒアリングしておすすめを提案しているので、自分の知らなかった好きを新たに発見できると思います」

「若者の日本酒離れと言われて久しいですが、うちには若いお客さんがとても多く、世代問わずたくさんの日本酒ファンがいることを実感しています」と語る佐々木さん。お店はオープンしてまだ3年半だが、来客数も売上も伸長しているという。これからも仙台駅から宮城の日本酒の魅力を発信し続ける。


ライター:エタノール純子
さまざまなお酒を飲み歩き、30歳を過ぎて日本酒に行きつく
最近はスパークリング日本酒にハマっている

むとう屋 仙台駅店

むとう屋 仙台駅店

住所
宮城県仙台市青葉区中央1-1-1tekuteせんだい内Googlemapで開く
TEL
022-796-8815
HP
https://www.e-mutouya.jp/
営業時間
10:00~20:00
定休日
無休

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