福井を代表する酒蔵「黒龍酒造」が手掛ける複合施設「ESHIKOTO(えしこと)」に初潜入!
福井駅からタクシーで約30分、永平寺町にある酒蔵観光施設「ESHIKOTO」へ初潜入! 黒龍酒造擁する石田屋二左衛門によって創設され、お酒を核に福井や北陸の文化を伝える場所として日本酒ファンから注目を集めている。
雪が降りしきる中たどり着いたのは、福井県永平寺町にある酒蔵観光施設「ESHIKOTO」。
黒龍酒造擁する石田屋二左衛門によって創設され、お酒を核に福井や北陸の文化を伝える場所として日本酒ファンから注目を集めている。
INDEX
1. 「黒龍酒造」が手掛ける複合施設「ESHIKOTO(えしこと)」
2022年6月に誕生した複合施設。
福井を代表する酒蔵「黒龍酒造」のお酒をメインに福井や北陸の食や文化を伝える施設。
名称でもある「ESHIKOTO」は、この地で展開するスパークリング日本酒のブランド名称にもなっている言葉で、「えし」=「良し」、つまりは良いことを伝えていこうという思いから付けられている。
ESHIKOTO全体の敷地面積は約3万坪。そのうちの約1万坪に当たる部分に、お酒や食事が楽しめる「酒樂棟(しゅらくとう)」、スパークリング日本酒の瓶内二次発酵を行うセラーが入った「臥龍棟(がりゅうとう)」の2 つの棟を構える。
酒樂棟にある石田屋ESHIKOTO店では、日本酒や福井の伝統工芸品を購入することができ、お酒のテイスティングも楽しめる。常時15種類ほどのお酒が並び、ここでしか手に入らない「ESHIKOTO」ブランドのお酒も販売されている。
酒ディプロマ保持者でありソムリエールを務める加畑未央さんは、
「石田屋のこだわりはお酒だけではなく、ショップの内装もとことん福井にこだわっています。酒器のショーケースには越前箪笥、店内の壁紙には越前和紙を使ったり。床やカウンターにはこの地域で有名な笏谷(しゃくだに)石を贅沢に使用しています」と洗練された店内を案内してくれた。
少し腰かけるのに便利な杉の木で作られたベンチには、樹齢200年の美山杉が使われており、今年で220周年を迎える黒龍酒造とほぼ同じ時を過ごしたモチーフともなっているそう。
2. 「石田屋 ESHIKOTO店」で日本酒の試飲を!
テイスティングカウンターでは、日本酒の値段に関係なく一律600円で試飲できる。
スタッフが丁寧にお酒の解説もしてくれるので、どの商品を買って帰ろうか悩んでしまう方にはぜひテイスティングの利用をおすすめしたい。
黒龍酒造は文化元年(1804)創業の、福井を代表する酒蔵のひとつです。日本酒愛好家にもファンの多い「黒龍」や「九頭龍」が有名ですが、一番のお目当ては「石田屋ESHIKOTO店」でしか購入できない「永(とこしえ)」シリーズ。福井県産の酒米にこだわり、昔ながらの生酛(きもと)造りを活かした独自の手法で醸造されていて、これまでの黒龍酒造の日本酒とは違う魅力を持つ、まろやかですっきりとした味わいが特徴です。
「黒龍」「九頭龍」は全国の特約店にも並ぶ商品となっているが、「ESHIKOTO」はネット上でも買えないここ限定のお酒。
「ESHIKOTOは、福井県産の酒米にこだわって作っており、ラベルや瓶にいろんなカラーを取り入れたり、VINOLOK(ヴィノロック)というガラスの栓を採用したりと新しい挑戦も含めたブランドになっています。また、梅酒やスパークリングの日本酒など、今までの日本酒以外のものを作るのというのもESHIKOTOブランドとしての取り組みの一つですね」とスタッフさん。
それではお待ちかねの試飲タイム!
「ESHIKOTO」シリーズのラベルには、ESHIKOTOから見える山脈を形取ったデザインが施されていたり、九頭竜川の川筋が刻まれていたり。家に帰ってお酒を楽しむ時にもラベルを見てESHIKOTOから眺めた景色を思い出してもらえたらという願いが込められているのだとか。
テイスティングでいただいたのは「ESHIKOTO AWA IWAI」と「ESHIKOTO永 さかほまれ」の2種類。
ESHIKOTO AWA IWAI
アルコール度数13%
福井県産米で作る、瓶内2次発酵にこだわったスパークリング日本酒。軽い飲み口ながらもしっかりと飲みごたえがあり、上品な甘さがあるので食前酒としても楽しめる。ゆっくりと時間をかけて発酵・熟成させる製法によって生み出されたきめ細かい泡が特徴で、紅白カラーのラベルはお祝いのシーンにぴったりだ。
ESHIKOTO永 さかほまれ
アルコール度数 16度 精米歩合 40%
福井県独自の大吟醸酒米「さかほまれ」を贅沢に使用し、精米歩合40%まで磨いた純米大吟醸。黒龍酒造にとっても挑戦である生酛造りを参考にした全く新しい手法で造られ、濃厚で深みがありきれいな酸が際立つ。16度と思えないほど軽やかでメロンのような甘みが感じられる一本。
3.「Apéro acoya」の特別な福井ランチ
酒樂棟にあるもう一つ欠かせない存在、それがレストラン「Apéro acoya(アペロアコヤ)」だ。自然や食が豊かな福井県の長所を活かし、ここでしか提供できない福井にこだわったメニューを展開している。
料理長を務めるのはフレンチ出身のシェフ・竹内賢太郎さん。
「基本的には、福井のものを使っているのですが、必ずしも福井のものでないといけないわけではなくて。もっと広い目で見て、福井のもの、福井の人が扱ったものを使えたらいいなと思っています」と、地域の方との繋がりから生まれる食材選びは福井県出身の竹内さんならでは。
「福井のお米がやっぱりすごく美味しいので、お米を食べていただけるようなメニューにできないかなと最近メニューを新しくしました。黒龍酒造さんが実際に酒造りに使っている酒米と同じ地域から仕入れたコシヒカリを、お客様から注文を受けてから一つ一つ土鍋で炊き上げています」
お米を食べてもらうためのメニューとあって、御膳で提供される料理はどれもご飯が進むものばかり。特にメインのお肉は、黒龍酒造の酒粕を食べて育った豚「黒龍吟醸豚」のバラ肉が赤ワインビネガーで角煮風に仕上げられており、これはぜひともスパークリング日本酒と合わせていただきたくなる一品だ。
器も全て福井にこだわっており、日本六古窯の一つに数えられる越前焼の食器はApéro acoyaの料理に奥ゆかしさをプラスしている。
ランチメニュー 2,750円(税込)
・本日の土鍋ご飯 阿難祖 コシヒカリ
・ベビーリーフのサラダ 白板昆布のドレッシング
・鮮魚 蕪 春菊の汁物
・黒龍吟醸豚赤ワインビネガーの角煮
・黒龍酒造の酒粕を使用した粕汁
・伊自良卵の五目焼き
・季節のお漬物
4. お土産を購入
acoyaでは黒龍酒造のお酒をテーマに、ケーキや焼き菓子なども製造・販売している。
中でも、「大吟醸と塩 パウンドケーキ」は、お塩の塩味に大吟醸酒粕のフルーティーな甘さが合わさり、後味に程よい日本酒感を残した究極の大人スイーツ。
お店で1番最初に考案された「黒龍大吟醸ソフトクリーム」が元ネタになったそうで、
「ソフトクリームがすごく自分の中で気に入ったので、それを焼き菓子に落としこんだらどうなるだろうというイメージで作ったのがこのパウンドケーキ。大吟醸酒粕をバニラや塩と合わせると食べやすくなると思い、何回か試作してようやく完成しました」とパティシエの岡田麻波さんが笑顔で語ってくれた。
自分へのご褒美にも大切な人への贈り物としても重宝するだろう。
5. 今後の展望
今は「石田屋ESHIKOTO店」と「Apéro & Pâtisserie acoya」の2店舗、そしてスパークリング日本酒の貯蔵庫のみがオープンしているESHIKOTOだが、本年秋ごろには残り3分の2の敷地に8棟ほどのオーベルジュと飲食店が増える予定だという。
オーベルジュができれば、美酒・美食を堪能してそのまま一晩泊まって行くこともでき、20歳以上の大人たちがゆったりと余暇を過ごせる最高の目的地となるだろう。
贈答用の「黒龍」、家飲み用の「九頭竜」とブランドを展開してきた黒龍酒造だが、それに続く「ESHIKOTO」ブランドは蔵を上げての挑戦。15ヶ月以上熟成させて仕上げるスパークリング日本酒や生酛由来の新しい造りを採用した「永」シリーズなど、今後の黒龍酒造の発展にもぜひ注目したい。
石田屋ESHIKOTO店
住所 福井県吉田郡永平寺町下浄法寺12-17
営業時間 10:00〜17:00
電話 0776-63-1030
定休日 毎週水曜日、第1・3・5火曜日
HP https://eshikoto.com/ishidaya/
Apéro & Pâtisserie acoya
住所 福井県吉田郡永平寺町下浄法寺12-17
営業時間 10:00〜18:00
電話 0776-97-9396
定休日 毎週水曜日、第1・3・5火曜日
HP https://acoya-fukui.com