【豆知識】日本酒の生酒(なまざけ)って?フレッシュさが魅力の生酒を楽しもう!
日本酒のラベルでよく目にする「生酒(なまざけ)」という用語。今回は新酒の時期に特に目にする“生酒”について唎酒師 藤田えり子さんが解説します。
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生酒(なまざけ)は、加熱処理をしていないお酒のこと
一般的に日本酒は醪(もろみ)をしぼった後の貯蔵前と瓶詰め前の通常2回、加熱処理(火入れと言います)を行います。それに対して「生酒」は一度も火入れをしていないお酒ということになります。しぼりたてのフレッシュな香味が楽しめるお酒です。
お酒に火入れをする理由は、60〜65℃の低温で加熱して酵素の働きを止め、酒質の変化を防いで安定させるため。
おすすめの保管方法
火入れをしてない生酒は味が変わりやすいので、冷蔵して早めに飲み切ることをおすすめします。
人気の生原酒(なまげんしゅ)、無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)って?
最近「生原酒」も人気がありますね。
まず原酒とは何かというと、加水をしていないお酒のこと。ほとんどの日本酒は15%前後のアルコール度数に調整して、飲みやすくする目的で水を加えています(割水と言います)。つまり生原酒とは割水をしない生酒を意味します。
さらに!澱や濁りを取り除くための濾過(むろか)さえしないのが「無濾過生原酒」。
醗酵由来の炭酸ガスのピチピチ感があるものも多く、まさにしぼったままの美味しさ!昔は蔵人しか飲めなかった特別なお酒が手に入りやすくなったのです。
生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)や生詰め酒(なまづめしゅ)とはどう違うの?
似たような名前に「生貯蔵酒」「生詰め酒」がありますが、生酒ではありません。
これらは火入れの回数とタイミングの違いで、生貯蔵酒は瓶詰め前に、生詰め酒は貯蔵前に、いずれも1回だけ火入れしたもの。秋に登場する「ひやおろし」は生詰め酒の代表格になります。
ただ、安定した味わいの火入れ酒に対して“生”のつく日本酒はいずれもフレッシュでみずみずしい味わいが特徴です。
旬のフレッシュな味わいを楽しんで
生酒はなんといってもフレッシュな味わいが魅力。
香りも穏やかで、どんな食事にもぴったり寄り添います。新酒が登場する冬から春にかけては、しぼりたて生酒の季節です。若々しい生酒の旬の味わいを楽しんでくださいね。
ライター 藤田えり子
唎酒師。大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。
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