【豆知識】秋の食卓にはぜひ日本酒を!日本酒のタイプ別に、相性の良い料理を紹介!
「天高く馬肥ゆる秋」の到来です。秋は秋刀魚に松茸、栗など旬の味覚が目白押し。今回は日本酒のタイプ別、秋の食材を中心にした相性の良い料理について唎酒師の藤田えり子さんが解説します。
まずは日本酒を4タイプに分類
日本酒の個性は多彩で、分類の方法もさまざまですが、ここでは「香りと味わいの特性」によって4つのタイプに分けています。
●薫酒…フルーティーでフレッシュな香り、すっきりとした味わい。吟醸酒や大吟醸酒に多い。
●爽酒…香りは控えめで軽快、ドライな味わい。本醸造酒、または淡麗辛口タイプに多い。
●醇酒…米本来の旨みや甘みを感じさせるような、しっかりとしたコクのある味わい。純米酒、生酛、山廃に多い。秋ならではのひやおろしもこのタイプ。
●熟酒…ドライフルーツや蜂蜜、ナッツのような熟成香があり、独特の味わい。古酒、長期熟成酒がこのタイプ。
では、それぞれのタイプごとに相性の良い料理を見ていきましょう。
薫酒×生牡蠣レモン
11月頃から身がぷりっとして美味しさが増すのが生牡蠣。牡蠣のミルキーな旨みを引き立てるのはやっぱり日本酒です。レモンをしぼって酸味を加えた生牡蠣にぴったりなのが純米吟醸酒や純米大吟醸酒。磯の香りと柑橘の爽やかさが吟醸香とマッチ、生臭さを抑えて旨みのみが広がります。
ほかには白身魚、鶏肉の酒蒸しなどの淡白なもの。意外なところではクリームチーズや、酸味の強すぎないフルーツとの相性もぴったりです。
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爽酒×松茸の土瓶蒸し
秋の贅沢といえば松茸ですね。松茸料理の代表格、土瓶蒸しはぜひ爽酒を燗にして合わせてください。淡麗な日本酒は香りが控えめで松茸の命の香りを堪能でき、土瓶蒸しの出汁と温かい燗酒を交互にすすれば、旨みが渾然一体となって喉を通っていきます。
ほかには湯豆腐、ふろふき大根、茶碗蒸し、出汁を効かせた野菜の煮浸しなど、あっさりとした料理に合います。
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醇酒×秋刀魚の塩焼き
松茸もいいですが、庶民にとっての秋の味覚といえば秋刀魚でしょう。脂ののった秋刀魚の塩焼きにぴったりなのは、やっぱり純米酒。皮目をパリッと香ばしく焼いた秋刀魚は、米の旨みを生かした純米酒との相性が最高です。ほどよい酸味が秋刀魚の脂を流してくれて後口さっぱり。もちろん燗酒だとなお良しです。
ほかにはすき焼きやブリの照り焼き、タレの焼き鳥など脂の多い料理、バターやクリーム系の料理にも合います。
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熟酒×ビーフシチュー
秋の食材じゃなくてちょっと変則ですが、木枯らしの吹く頃に食べたくなるビーフシチューに合うのがこのお酒。熟成酒ならではのスパイシーな香りと濃醇な甘みや旨みが、デミグラスソース(ブラウンソース)の香ばしさとマッチするのです。
ほかにも和食では味噌や醤油の濃厚な味に合うので、牡蠣の土手鍋や鰻のかば焼、豚の角煮など。チョコレートやブルーチーズにも。
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簡単な法則を覚えておこう
色の白い(淡白な)料理には淡麗な酒を、色の黒い(味の濃い)料理には濃厚な酒を。ごく大雑把な目安ですが、こんな法則を頭に入れておくといいでしょう。
だけど基本的には日本酒ほど、どんな料理ともケンカをしないお酒はありません。赤ワインとイクラの例のようにどうしても合わないということはないでしょう。和食・洋食・中華ともさまざまな料理との相性を試してみて、日本酒を楽しんでくださいね。
ライター・唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。