イベントレポート

[2025]第二回「伏見酒フェス」&11酒蔵の蔵開きが実施!伏見の日本酒と食を堪能する一日をレポート

京都市伏見区にて2025年3月15日(土)、第2回目となる「伏見酒フェス」が開催された。メイン会場である[月桂冠昭和蔵]を中心に、伏見11の酒蔵も一斉に蔵開きを実施。日本酒で大いに盛り上がったイベントの様子をレポートする。

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前年以上の盛り上がりとなったイベント&蔵開き

伏見酒造組合は“京都・伏見の酒蔵や歴史ある街に実際に足を運んで、魅力を体感してほしい”という想いから、これまで3月に「日本酒まつり」を実施してきた。

2024年は従来の「日本酒まつり」の規模を拡大させ、[伏見港公園]をメイン会場にした「伏見酒フェス」を開催。第二回となる今年はメイン会場を[月桂冠昭和蔵]へ変更して、開催された。

全国的にも有数の日本酒生産地である京都・伏見で開催される本イベントの周囲では、11もの酒蔵が一斉に蔵開きを実施した。

[月桂冠昭和蔵]を中心に日本酒を楽しみながら、伏見を回遊するという街全体をあげての大規模イベントとなった。

メイン会場[月桂冠昭和蔵]で4種の日本酒を飲み比べ!

メイン会場となった[月桂冠昭和蔵]は各酒蔵のほぼ中心に位置しており、午前中から多くの来場者で盛り上がった。

昭和蔵

開催時間帯は昨年の3部制から4部制に変更。1部あたりの人数を減らし、各酒蔵ごとに待機列を設けることなどで混雑を抑える工夫が行われていた。

昭和蔵

有料試飲は全18種類。伏見を筆頭に、京都の銘酒を4種類飲み比べられる。3枚綴りの追加チケットも1,000円で販売されており、時間の許す限りの試飲が可能となっていた。

月桂冠昭和蔵

メイン会場で提供された各酒蔵の銘柄は以下の通り。
(酒造名・銘柄・原材料米)

  • ●黄桜 華祥風 大吟醸 黄桜(山田錦)
  • ●北川本家 富翁 純米大吟醸 ささにごり生原酒(国産米)
  • ●京姫酒造 山田錦大吟醸 匠(山田錦)
  • ●キンシ正宗 金鵄正宗 純米大吟醸(祝)
  • ●月桂冠 鳳麟 純米大吟醸(非公開)
  • ●齊藤酒造 英勲 純米大吟醸原酒(祝・京の輝き)
  • ●招德酒造 純米大吟醸 延寿千年(兵庫県産山田錦)
  • ●城陽酒造 城陽 純米大吟醸 40 (五百万石)(京都府産五百万石)
  • ●宝酒造 松竹梅 伏見限定醸造 <大吟醸>(兵庫県産山田錦)
  • ●玉乃光酒造 純米大吟醸 有機肥料使用 美山錦100%(美山錦)
  • ●豊澤本店 豊祝 純米大吟醸(祝)
  • ●東山酒造 大吟醸 坤滴(山田錦)
  • ●平和酒造 純米大吟醸 慶長伏見の酒(山田錦)
  • ●増田德兵衞商店 月の桂 柳 純米吟醸酒(山田錦)
  • ●松本酒造 桃の滴 純米吟醸(兵庫県産山田錦)
  • ●松山酒造 十石 祝 純米大吟醸(祝)
  • ●都鶴酒造 都鶴 純米大吟醸 無濾過原酒(五百万石・京の輝き)
  • ●山本本家 神聖 京都府産祝 純米大吟醸(祝)

 

玉乃光、黄桜、京姫酒造、東山酒造の4種をいただく。伏見の日本酒らしいスッキリとした飲み口、ほのかな甘味が感じられる贅沢な飲み比べだ。

4つのお酒が片手で持ち運べるトレイの存在は非常にありがたい。空いたスペースにおつまみを置き、談笑しつつ日本酒を楽しむ姿も多く見られた。

飲み比べ

会場出口では、18蔵が用意した各銘柄の販売も行われた(一部銘柄を除く)。各部の転換時間には多くの来場者が好みのお酒を購入するために大いに賑わった。

伏見エリアの人気飲食店がフード出展

メイン会場には地元伏見の人気飲食店が特別出展し、日本酒にマッチするメニューを中心に様々なグルメを提供した。

フードブース

メイン会場の出店店舗は以下の通り。

  • ●[肉匠森つる]タンシチュー、焼肉丼等
  • ●[鉄板串焼き咲蔵]おつまみ3種盛り
  • ●[伏水酒蔵小路]牛すじ煮込み、京風だし巻き等
  • ●[地どり 鳥焼き 鳥どり]唐揚げ、ヒネ&ズリ皮ポンズ等
  • ●[魚民中書島北口店]ソース焼きそば、もつ煮、おでん等
  • ●[Foods bar 栞屋]九条ネギあんかけだしまき等
  • ●[やさい・きっちん]鮭の塩焼きと惣菜の弁当等

フードブース

地元の飲食店のメニューをおつまみに、伏見の各酒蔵の日本酒を楽しめる体験は本イベントならではだ。

伏見エリアの11蔵が一斉蔵開き!

伏見エリアの11蔵の一斉蔵開きも行われ、各会場では蔵の特色を活かした催し物が行われた。

玉乃光酒造(玉乃光)と松山酒造(十石)は、今回2度目となる合同蔵開きを開催。昨年度よりも規模を大きくした会場、イベントで来場者を楽しませた。

タマコク会場

▲右手が玉乃光、左手が十石の酒蔵

両蔵を挟む道路は歩行者天国となり、各酒蔵のお酒やフードを楽しむ来場者で盛り上がる。玉乃光と十石を合わせた「たまこく」の認知度は昨年以上であり、年々注目度を上げている様子が見受けられた。

玉乃光酒造(玉乃光)では昨年の会場に加え、酒蔵の北側に位置する駐車場スペースも追加。日本酒カクテルの提供や各種飲み比べに加え、蔵人と直接話せる「スナック玉乃光」など、様々な催しで来場者を楽しませた。

玉乃光

松山酒造(十石)では、蔵開きのために仕込んだ純米大吟醸の充填体験と販売を実施。お得な価格での限定酒とあって、こちらも多くの人で賑わった。

十石 充填体験

招德酒造(招德)や北川本家(富翁)などでは当日限定酒の販売を実施。数に限りがあるお酒の購入、試飲を目当てに多くの来場者が訪れた。

招徳

富翁

黄桜(黄桜)では日本酒に加えて京都初の地ビール「京都麦酒」、丹波蒸溜所のウイスキーやジンの提供も実施。日本酒にとどまらない伏見の酒蔵の魅力を発信した。

黄桜

月桂冠は「月桂冠大倉記念館」を無料開放しての蔵開きを開催。「樽酒と甘酒の振る舞い」や「酒樽の菰巻実演」、「酒造り唄披露」など様々な催し物も行われた。

月桂冠

午後からはあいにくの雨となったが、午前中以上の来場者で各酒蔵は盛り上がった。残念ながら雨天による一部イベント中止などもあったが、来場者は酒蔵を回遊したり、お気に入りの酒蔵で腰を据えたりするなど、様々な時間を過ごしていた。

スタンプラリーなどの同時開催イベントも!

文化庁協力のもと、「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録を記念したスタンプラリーも開催。

メイン会場を含む18会場にスタンプ台を設置し、蔵開き会場3つ以上、その他同時開催イベント1つ以上のスタンプで応募すれば、各酒蔵の日本酒が当選するキャンペーンを行った(商品は当選者18名に後日発送)。日本酒造りを楽しく学びながら、伏見一帯を回遊するイベントとして多くの人が楽しんだ。

スタンプラリー

[月桂冠昭和蔵]近くの「コミュニティ・バンク京信わくわく広場」では、小さな子どもやお酒を飲めない人でも楽しめる、「縁日」をイメージしたマルシェイベントも開催。

粕汁やスイーツの販売など様々な出店、催し物で来場者を楽しませた。

コミュニティ・バンク京信わくわく広場

伏見の歴史と日本酒文化の魅力をより多くの人へ

午後にはあいにくの雨となったものの、会場は終日盛況。今年も伏見の酒文化の魅力を存分に味わえるイベントとなった。

各イベントが終了する夕方には、伏見のアーケード「伏見大手筋商店街」周辺の居酒屋へ流れる参加者も多く、日本酒を中心に街全体が活気づいた。本イベントは、昨年同様、地域一丸となった町おこしとして大きな効果を発揮したといえるだろう。

伏見には、豊臣秀吉が築いた伏見城や坂本龍馬ゆかりの寺田屋、そして歴史ある酒蔵の街並みなど、多彩な魅力がある。しかし、観光客の多くは伏見稲荷大社を目的に訪れるため、酒蔵が並ぶエリアにまで足を運ぶ人は限られるのが現状だという。

海外での日本酒人気の高まりや、「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録など、日本酒への注目度は年々増している。今後も日本酒をフックに、地域全体の賑わいを生み出していく伏見エリアに期待したい。


ライター:新井勇貴
滋賀県出身・京都市在住/酒匠・SAKE DIPLOMA・SAKE検定講師・ワインエキスパート
お酒好きが高じて大学卒業後は京都市内の酒屋へ就職。その後、食品メーカー営業を経てフリーライターに転身しました。専門ジャンルは伝統料理と酒。記事を通して日本酒の魅力を広められるように精進してまいります。

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