鯉川酒造株式会社
300年の歴史を持つ山形県庄内町の[鯉川酒造]
「亀の尾」で醸す旨辛口の熟成純米酒
約300年にわたり、山形県庄内町で酒造りの伝統を守り続ける[鯉川酒造]。幻の酒米「亀の尾」を復活させ、地元産の原料にこだわった純米酒造りに情熱を注ぐ。
300年続く、庄内の恵みを活かした酒造り
享保10年(1725年)創業の[鯉川酒造]。幻の酒米「亀の尾」発祥の地である山形県庄内町に蔵を構え、地元産の原料にこだわり、米本来の旨味を丁寧に引き出した熟成純米酒を追求している。
山形県工業技術センター開発の県産酵母や、地元農家が栽培する「亀の尾」など良質な山形米、そして出羽三山と鳥海山からの清冽な雪解け水を使い、地元出身の杜氏が伝統の技を駆使して醸造を行う。
とりわけ代表銘柄「鯉川」は、その9割以上を「亀の尾」をルーツとした米から醸しているという。庄内の恵みと技術が結実した地酒として、キレのある旨辛口に仕上げられ、冷やでも燗でもその魅力が引き立つ酒である。
時代を超えて甦った酒米「亀の尾」
「亀の尾」は、明治時代に山形県庄内町の篤農家・阿部亀治氏が冷害に耐えた稲穂から育成した品種で、強風や冷害に強く、多収な品種として大正時代には東北・北陸で広く栽培され、“西の「雄町」”、“東の「亀の尾」”と称されるほどの代表的なイネ品種となり、食用米としても酒米としても高い評価を得ていた。
しかし、時代の移り変わりとともに、害虫への弱さや現代農法との親和性が低かったことから1970年代には栽培が途絶え、“幻の品種”となってしまう。
その後、1980年代に[鯉川酒造]が阿部家から種もみを譲り受け復活させた「亀の尾」は、食用米としては淡白で粒立ちが良く、酒米としては高度な技術を必要する品種として知られている。この「亀の尾」で醸される酒は、滑らかな口当たりと深みのあるコクが特徴だ。
「亀の尾」が育む熟成純米酒
2016年より全量純米酒蔵となった[鯉川酒造]は、「亀の尾」の持つ力を存分に引き出し、辛口でありながら、ふくよかで米本来の旨味を堪能できる食中酒を目指している。
醸し出された酒は涼温倉庫で丹念に熟成され、旨味成分が醸成されることでまろやかな辛口へと磨き上げられていく。この芳醇な旨味と料理に寄り添う辛口の絶妙なバランスこそが、[鯉川酒造]の醸す熟成辛口の真骨頂といえるだろう。
常温から熱燗まで、温度によって変化する繊細な味も楽しめ、とくに燗をつけることで香りと旨味が増し、料理との相性がいっそう際立つ。杯を重ねても飽きの来ない奥深い味は、食中酒として理想的な個性を見せる。
「亀の尾」を復活させ、酒米として受け継ぐ[鯉川酒造]は、自らも栽培に携わりながら、この貴重な品種の保護と普及に尽力している。
これからも庄内の豊かな風土が育む原料、300年の歴史が磨き上げた醸造技術、そして地元の杜氏と蔵人たちが受け継ぐ技の粋を結集し、「亀の尾」の真価を存分に引き出した酒造りの伝統を紡いでいく。
鯉川酒造株式会社
- 創業
- 1725年
- 代表銘柄
- 鯉川
- 住所
- 山形県東田川郡庄内町余目字興野42Googlemapで開く
- TEL
- 0234-43-2005
- 営業時間
- 8:30〜17:00(昼休み:12:00〜13:00)
- 定休日
- 4〜9月は土・日・祝、10〜3月は日・祝