「百光」として初のヴィンテージをリリース

今回発売される銘柄は、5年熟成させたフラッグシップ初のヴィンテージ日本酒「百光」。この数年は完売が続き、なかなか手に入りにくくなっている「百光」だが、醸造2020年度のヴィンテージには強い熟成の可能性を感じたという。コメントは発表会の様子より。

生駒さん「これまでの『百光』に比べ『酸味』が強く出ていたため、長期熟成による伸びしろを感じたんです。そのため少量を選抜してマイナス5度の氷温、5度の低温という2つの温度帯で熟成させました。5年の月日が経過し、透明感を保ちながらも、熟成によってしか生まれない奥深く複雑な味わいを併せ持つ一本が誕生しました」

2020年醸造の「百光」には「出羽燦々」が使用されている。有機栽培によって米の個性が際立ち、一層熟成にも適した酒質であったという。

現在の「百光」は「雪女神」が採用されているため、今流通している中では本商品でしか味わえない希少な存在だ。

生駒さん「熟成における味わいの変化はある種の賭けです。お酒の出来栄えを確認する作業は毎回緊張しますね。納得のいく出来栄えでなければ、世間にリリースできないわけですから。今回の『百光』を飲んだ時、本当に安心しました。ペアリングとしては白身魚全般はもちろん、赤身肉にも合わせられる力強さを兼ね備えています。温度は5度前後に冷やした状態もいいですが、赤ワインのように15度程度にあげても楽しめます」

アートとのコラボにより日本酒の価値を広げる

「百光」初となる熟成酒は、世界的に活躍する現代ポップアーティスト、ロメロ・ブリット（Romero Britto）氏による特別ラベルとともにリリースされた。

ロメロ・ブリット氏は、鮮やかな色彩とダイナミックな構図で愛・夢・希望・幸福を表現し、アートを通じて多くの人々の心にポジティブなエネルギーを届け続けている。世界各国の王室やセレブリティらをファンに持ち、ルーブル美術館など120か国以上のギャラリーや美術館で展示。2010年FIFAワールドカップ公式アーティスト、2016年リオデジャネイロ・オリンピックのアンバサダーを務めるなど、世界的に活躍している。

ボトル、外箱には葛飾北斎の代表的な木版画「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」にインスパイアされて制作したアートワーク「THE GREATEST WAVE」が彩られ、特別な「百光」を一層引き立てる。アート自体の価値を損ねないよう、ロメロ・ブリット氏サイドと綿密にコンセンサスを取りながら実現した。

高価格帯の日本酒が増える中でも、1本100万円という設定は象徴的な挑戦といえる。

この点について、生駒さんは「この価格は日本酒自体はもちろん、アート、そして来年の夏に予定している特別ディナーといった総合的な価値を含んでいます。日本酒自体のポテンシャルは高いですが、アルコール飲料としての訴求はどこかで限界が来ると思っています。人生を豊かにする存在としての日本酒の価値を、今回のコラボレーションを通じて実現したいという期待を持って取り組んでいます」と説明する。

SAKE HUNDRED初のヴィンテージ「百光」は、ウイスキーやワインのように、日本酒も熟成によって価値を高められることを示す挑戦といえる。

長期熟成酒とアートの融合は、日本酒に新たな風を吹き込み、これまでにない価値を生み出していくはずだ。

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