本醸造辛口 安東水軍
尾崎酒造株式会社 | 青森県
尾崎酒造株式会社
海沿いの街・鯵ヶ沢町(あじがさわまち)に、青森県西海岸で唯一の酒蔵がある。真っ赤な扉に記された文字「安東水軍」は尾崎酒造の代表銘柄だ。
津軽半島北西部に位置する十三湖にあった港、十三湊(とさみなと)を拠点に活動していた「安東水軍」は国外との交易を盛んに行い巨万の富を築いた。前九年の役に敗れたあと、安倍貞任の遺児・高星丸(たかあきまる)が、その拠点を十三湊から鯵ヶ沢に移したという。そんな鯵ヶ沢町に縁のある安東水軍の名を冠して、尾崎酒造の初の純米酒は誕生した。特徴的な赤色のラベルは、日本海に沈む美しい夕日をイメージしたもの。
初代は船乗りだったという尾崎家が酒造りを始めたのは1860(万延元)年、8代目の頃と伝わる。船との関わりの名残は酒蔵にも残っており、天井が低い蔵は魚の貯蔵用倉庫だったと言われている。
尾崎酒造で使う米はほぼ県内産、そして全ての工程に世界遺産・白神山地のやわらかで甘みのある伏流水を使用している。「安東水軍」はすっきりと軽やかで、口当たりがやさしいのが特徴。製造から瓶詰め、出荷までは、14代蔵元・尾崎大さんをはじめ少数精鋭の4人で行っている。
「安東水軍」の次に生産高を占めるのが「神の座」。命名・題字の揮毫は俳優の故・森繁久彌さんによるもの。神様が酒を飲んでいるという意味で名付けられた吟醸酒だ。大さんの父で13代蔵元の行一さんが森繁さんの書く文字に惚れ込み、題字の相談をしたことをきっかけに生まれた。ほのかな香りとさらりとした口当たりは、やはり白神山地の伏流水をなくしては生まれ得ないという。