【豆知識】日本酒のお供にはチーズがぴったり?さまざまなチーズと日本酒の相性について知りたい!
ワインのおつまみの定番といえばチーズ。でも実は日本酒とも相性がよく、お互いを引き立てあう存在なんです。気になるチーズと日本酒について、唎酒師の藤田えり子さんが解説します。
チーズと日本酒は発酵もの同士
一般的にチーズは原料乳に乳酸菌を加えて乳酸発酵させ、レンネットというタンパク質分解酵素を加えてタンパク質の一種・カゼインを凝固させます。そこから水分を分離して食塩などを加え、熟成させて作られています。
チーズにはタンパク質を分解してできるアミノ酸が豊富。同じく発酵によって造られる日本酒もアミノ酸を多く含むので、美味しさの相乗効果はバツグン! さらにハードタイプのチーズに多く含まれるメチオニンというアミノ酸は肝臓の機能を助け、悪酔い防止に役立つというから良いことづくめのコンビネーションですね。

さまざまなタイプがある世界のチーズ
チーズは紀元前4000年頃にメソポタミア地方で生まれ、世界に広がっていったと考えられています。その始まりは、水筒がわりの家畜の胃袋に入れていたミルクが、器に残った消化酵素で凝固した偶然からだったとか。現在もチーズ作りが盛んなイギリスやイタリア、フランスでは、それぞれ数100種類ものナチュラルチーズが作られているというから驚きです。
ナチュラルチーズはいくつかのタイプに分かれ、熟成させないフレッシュ(クリームチーズやモッツアレラなど)、カビで熟成させた白カビ(カマンベールなど)や青カビ(ゴルゴンゾーラなど)、水分の少ないハード(ミモレットなど)やセミハード(チェダーなど)が代表格。ほかにはチーズの表面を塩水やワインなどで洗って熟成させるウォッシュ、山羊乳で作るシェーブルも個性的な味わいで人気があります。
ちなみに日本のスーパーマーケットなどで手軽に購入できるのはプロセスチーズが主体で、これはナチュラルチーズを原料に加工したもの。加熱処理されているので熟成が進まず、日持ちが良いという利点があります。ナチュラルチーズより比較的クセが少なくて食べやすく、日本人好みかもしれません。

こんな日本酒にはこのチーズを
●吟醸酒などの香りが華やかな日本酒には、まろやかな風味のカマンベールなどの白カビ系がおすすめ。カマンベールはどんな日本酒ともよく合う万能チーズです。
●甘みのあるにごり酒やスパークリング日本酒には、クリームチーズやモッツアレラとフルーツを組み合わせておしゃれに楽しんで。
●コクの深い純米酒にはミモレットなどのハード系もぴったり。しっかり熟成させたハードタイプのチーズはまるで旨みのかたまりで、旨み同士の増幅を体感できます。
●生酛や山廃にはゴルゴンゾーラなどの青カビ系ブルーチーズ。チーズのミルキーな味わいと塩気をしっかりとした旨みのあるお酒が受けとめてくれます。
●熟成酒に合うのはゴルゴンゾーラやウォッシュタイプのひとクセあるもの。個性の強いもの同士が引き立てあいます。さらには純米酒の燗酒とウォッシュタイプもぜひ試してほしい取り合わせ。
ペアリングのセオリーとしては味の淡いもの同士、濃いもの同士を意識するとうまくいくはずです。日本酒とチーズの意外な相性、試してみて損はありませんよ!
ライター・唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか。お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。
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