NIKITATSU2024 純米大吟醸酒
水口酒造 | 愛媛県
水口酒造
道後温泉の酒文化を支え続けてきた[水口酒造]。県産米と石鎚山の伏流水を使い、伝統を守りつつ、現代の技術を取り入れた酒造りで、地元のみならず観光客も魅了する酒を醸している。
1895年創業の[水口酒造]は、日本最古の温泉として知られる愛媛県松山市の「道後温泉」のすぐそばにあり、存在感を放つ建物としてひときわ目立つ。
創業以来、愛媛・松山・道後地区唯一の造り酒屋として、地域の酒文化を守り育ててきた。「道後温泉」の定番湯上がりビール「道後ビール」から、焼酎、クラフトジンにサイダーなど多彩な酒類を手がけ、近年では清酒や酒粕などを原料にした、化粧品の製造も行っている。
1917年に建築された木造2階建ての店舗兼主屋は、国登録有形文化財(建造物)に指定されており、漆喰塗りの腰羽目板張りの外観と2階の洋風丸窓が特徴で、大正期の自由な雰囲気を今に伝えていることがわかる。
全国から訪れる観光客に、思い出となる酒を目指している。瀬戸内海や宇和海で獲れる海の幸に合う、淡麗ですっきりとした中にも旨みを感じる味わいが特徴だ。
「仁愛なる喜び多き津」の意味を込めた「仁喜多津(にきたつ)」、地元・道後の名を冠した「道後蔵酒」を中心に、特定名称酒から普通酒まで幅広く醸造している。
原料米に主に使われているのは、愛媛県産の酒造好適米「しずく媛」と「松山三井」だ。温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれた愛媛県で育てられたお米は、大粒で精米時に砕けにくく、低タンパク米として、酒造りに適した特性がある。
酒造りに欠かせない仕込み水は、西日本最高峰である石鎚山・高縄山系の伏流水を使っている。適度なミネラル分がまろやかでやさしい味わいを生み出すという。
さらに酒造りにおいて注目すべきは、120年以上続いてきた技術を継承するだけでなく、最新の設備も導入している点だろう。
もろみの温度管理・制御には、タンク回りに冷水を循環させるジャケット式仕込みタンクを設置。外気温に左右されないもろみ管理を行えるため、高品質の清酒に仕上がるのという。全国新酒鑑評会で最高位の金賞を通算7度受賞するなど、その品質の高さは広く認められている。
伝統を守りながらも進化を続ける[水口酒造]の酒は、道後温泉の地酒として、これからも訪れる人々の思い出を残していく。