一乃谷 大吟醸原酒 薫
宇野酒造場 | 福井県
宇野酒造場
1620年の創業以来品質第一、大量生産・製造をせずに手造りを続けてきた宇野酒造場。20代目当主となる宇野さんは元々薬剤師。継いだ当時の酒造りを取り巻く環境は封建的なものだ。「もっと日本酒そのものを自由に楽しめるようにしたい」と組合長を務め、蔵同士の技術交流やセット販売の実施など、地域の酒蔵を結びつける取り組みも行う。
見学ツアーは福井県内屈指の老舗の酒蔵ならではの伝統と、福井県内で唯一19年連続で金賞(現在は優等賞)を受賞中の、味と香りが楽しめる。
「全国新酒鑑評甲斐 金賞受賞」の大きな看板の脇にある暖簾をくぐると、ずらりと並ぶ酒瓶が出迎えてくれる。見学の蔵へ進む左右の壁は賞状で埋め尽くされており、圧巻。「うちは品質を落とさないのが自慢です。たとえ儲けが出なくてもね」と少しおどけて話してくださるのは、蔵元の宇野 信裕(うの のぶひろ)さん。事務所ではテンポよく日本酒の工程の解説や歴史についてレクチャーしてくれ、400年余りの歴史を持つ蔵ならではの当時の文書なども見ることができる。試飲は10種の中から好きなものが贅沢に楽しめる。
売店に並ぶお酒の案内表記を見ると、辛口+10など、キリッとしたものが多い様子。ところが口に含むと驚きのまろやかさで、喉を通る時に辛みがキリッと締まる。「これが福井の『女っぽい酒』だ」と宇野さん。
同時に実直な酒造りを守りながらアップデート。通常は手間とリスクを考え避けがちな山廃仕込みで酒母をつくり続けてきた。こだわりの原料は、大吟醸を造るのに適した最高級酒造好適米の山田錦。水はお清水(しょうず)と呼ばれる名水100戦に選ばれた水を200m掘って汲み上げ、大野の水脈だからこその味わいを醸し続けている。北陸で一番賞を獲り、末永く愛されているのが納得の酒造りをぜひ堪能あれ。