【福井県/𠮷田酒造】
「白龍」から「永平寺白龍」へと進化!米の個性を最大限に引き出す酒造り
2023年12月にオープンした新蔵「吉峯蔵」。日本酒の購入や飲み比べができるスペース、製造している様子が見学できるルートがなど見どころも紹介。
1. 田んぼと向き合い、米の個性を最大限に引き出す。
「目が届く、手が届く、心が届く」酒造り
九頭竜川が大きく流れ入る福井県永平寺町。大地・水・風土に恵まれたこの地で「永平寺テロワール」を掲げ、全量永平寺町産米でお酒を醸しているのは「白龍」でおなじみ𠮷田酒造だ。
2024年3月15日からはブランド名が「白龍」から「永平寺白龍」へと進化し、純米大吟醸/純米吟醸などといった特定名称を名乗らないお酒をメインアイテムとしてリリースしている。
1806年の創業以来、山田錦の最北端(1990年当時)栽培を開始するなど新しいことにチャレンジし続けてきたが、昨年秋に香港企業と合弁で新蔵「吉峯蔵」を設立。従業員や地域の方とも連携して郷酒を継承し、家族経営の範疇にとどまらないスケールで、海外にもファンを増やし続けている。
現在杜氏をつとめるのは24歳で就任した蔵元次女の𠮷田真子さん。
六代目蔵元𠮷田智彦氏が遺した言葉「目が届く、手が届く、心が届く」米作り、酒造りをモットーに、永平寺町産のお米を一つ一つ見極め、地元でとれる米本来の美味しさを引き出している。
5年ほど前から、蔵で扱うお酒の原料米を全て永平寺町産に切り替えた。冬は酒造りに勤しむ蔵人たちも、夏場は一転米作りに精を出し、想いとともに永平寺の風土を瓶に詰め込んでいる。
扱うお酒は純米酒のみ。米の上質な旨さと霊峰白山の雪どけ水の瑞々しさを活かし、芳醇で良質なお酒を展開する。
2024年3月15日からはブランド名が「白龍」から「永平寺白龍」へと進化し、純米大吟醸/純米吟醸などといった特定名称を名乗らないお酒をメインアイテムとしてリリース。「米は磨くほど、美味しい、価値がある」という世界観とは別に、米作りをする𠮷田酒造だからこそ言える「米が持つあるがままの力を最大限に引き出した酒造り」を提唱するため。我が子のように愛を持って育てた米を、必要以上に磨くのはもったいなく、永平寺の大地の米の力を存分に味わってもらうためには、米の素性を見極めた適切な磨き、酒造りが必要だと考えたからだ。茶色のボトルの「永平寺白龍 土てきてき」は𠮷田酒造のお酒の味わいの中心となっており、米の旨み・甘みや丸みのある酸、そして永平寺の土のふくよかさまでもが感じられる究極の食中酒だ。また、最も人気があるのはブルーボトルの「永平寺白龍 水てきてき」。最高峰の酒米「山田錦」と福井県を代表する酒米「五百万石」を掛け合わせており、中口でフルーティな飲み口と水の滑らかさ、そしてミネラル感が際立つ。日本酒に馴染みのない方にもおすすめしたい一本だ。
2. 永平寺町にできたシンフォニー𠮷田酒造の「吉峯蔵(きっぽうぐら)」
2023年12月には新蔵「吉峯蔵」が永平寺町にオープン。
世界の市場へ「永平寺白龍」を届けるシンフォニー𠮷田酒造の酒蔵で、酒蔵見学や飲み比べも楽しめる注目のスポットだ。
雪降る中、施設を案内いただいた。
永平寺白龍の造り方は「精米→洗米・浸漬→蒸し→製麹→酒母造り→醪造り(仕込み)→搾り→貯蔵」と大きく分けて8工程で造られている。
製造の過程を自由に見学することができる。それぞれの工程で案内板があるので分かりやすい。
写真は仕込室の様子。目の前で行われる酒造りのシーンはとても貴重だ。
日本酒やオリジナルグッズの購入ができる「吉峯蔵マルシェ“智”」
白と木製を基調とした洗練された空間。冷蔵ケースには各種日本酒、またオリジナルグッズなども販売。
店内のカウンターでは、限定酒や定番ラインナップの「3種飲み比べセット(45ml×3種類)」と「本日のグラス売り(1杯60ml)」各種、特製ソフトクリームなどの提供を行なっている。
3. 酒造りにかける想い
「飲んだ時に、永平寺町の風景が思い起こされるようなお酒」を目指して醸し続ける𠮷田酒造。
自然豊かな山間部にそそり立つ新蔵では、外窓から気軽に酒造りの工程を覗くことができる。酒米を育てている田んぼが蔵を取り囲み、その場所に行けば酒造りの起点から終点までを一気に望めるのだ。
世界に流通するお酒も自社の目の届く範囲で製造するというこだわりから、𠮷田酒造の酒造りに懸ける想いが感じ取れるだろう。
■𠮷田酒造(株)北島蔵本店
住所|福井県吉田郡永平寺町北島7-22
TEL|0776-64-2015
営業時間|10時〜17時
定休日|毎週水曜日
■シンフォニー𠮷田酒造(株) 吉峯蔵(きっぽうぐら)
住所|福井県吉田郡永平寺町吉峰5-5
TEL|0776-63-5499
営業時間|4月〜12月 10時〜17時、1月〜3月 10時〜16時
定休日|年中無休