日本酒と料理

[鳥せい本店]が2026年で創業50周年!酒蔵直営ならではの取り組みに迫る。

創業からまもなく350年を数える京都・伏見でも老舗の酒蔵[山本本家]直営の飲食店[鳥せい本店]が2026年に50周年を迎える。1970年代に酒蔵併設レストランの先駆けとして開業した歴史や当時の思いについて取材した。

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酒蔵が並ぶ伏見のまちにあり、観光客のみならず地元の家族連れでもにぎわう[鳥せい本店]は2026年1月に50周年を迎える。なぜ酒蔵の[山本本家]が鶏料理専門店を開業したのか、その理由や歴史について紐解いてみた。

1. 鳥せい名物はタンクから注ぐ蔵出し生原酒

歴史ある酒蔵と母屋を改装した空間で、銘酒[神聖]をはじめとする[山本本家]の約20種のラインナップが堪能できる鶏料理専門店。250席という広々とした店内は、昼間から堂々とグラスを傾けてお酒を楽しむ客でいつもにぎわう。特に味わいたいのは店中央に置かれたタンクから注がれる「蔵出し生原酒」。加えて12月から4月末までの新酒の頃はしぼりたて直送の「たれ口」も加わり、日本酒好きにはたまらない季節になっている。自慢の焼き鳥のタレは日本酒が隠し味で、それもお酒との相性が良い理由のひとつ。焼き鳥以外にもほとんどの料理が鶏づくしで、持ち味が淡白な鶏は料理次第であっさりにも濃厚にもなり、さまざまなタイプの日本酒と合う。日本酒のメニューには相性の良い料理の一例が記してあるので参考にするもよし。

2 . 酒蔵直営レストランの先駆けとして半世紀

創業から今に至る歴史や経緯を語る株式会社山本本家 専務取締役 山本晃嗣さん

[山本本家]にとって日本酒とは「料理があって、それを引き立てるもの」。いまから50年前の昭和51(1976)年に[鳥せい]を立ち上げたのもその考えが元になる。視察でドイツを訪れた先代の当主が、ブルワリーの傍らで作りたてのビールとソーセージのレストランを出しているのを見て、ヒントを得たことに始まる。我々もそういう店を設けたら、もっと日本酒を喜んで飲んでもらえるのではないだろうか。料理とともに自前の酒を提供するという新しいアイデアは、日本酒の業界にとってプラスになるに違いない。そうした思いからスタートさせたのが、日本では前例のなかった酒蔵直営の飲食店だ。いまや酒蔵併設のレストランは全国で人気を呼んでいるが、[鳥せい]はその先駆けといえる。
もともとは四条木屋町で営業している[鳥せゑ]から協力を得て[鳥せい本店]を開業。現在はグループ全体で19店舗を数えるまでになり、京都ばかりか大阪や茨城、福島、北海道、神奈川まで全国の日本酒ファンに鶏料理と銘酒[神聖]を楽しんでもらえるようになった。さらに2026年3月には東映太秦映画村内に20店舗目を予定している。

3. ふっくら香ばしく焼き上げる鶏串焼き

鶏串焼きは鳥せい特注の焼き台で、表面は香ばしく中はふっくらやわらかに焼き上げる。甘さ控えめのタレは日本酒にぴったり。
鶏串焼きは手前左から2本ずつ、ミンチ(つくね)200円(1串の価格/以下同じ)、とりねぎ200円、手羽先190円、奥左からきも190円、やきとり(上身)280円、心ぞう190円。とり釜めし(味噌汁、小鉢、漬物付き)1300円、つくね月見(オニオンソース掛け)720円。
グラスの蔵出し生原酒520円はコクがあり濃厚な、ここでしか飲めない一杯。左から神聖 超辛口特別純米原酒グラス600円、純米吟醸 祝グラス600円、純米大吟醸 京の輝きボトル3900円

4. 地元・伏見で愛されて迎える50周年

[鳥せい本店]50年の歴史の中で危機に面したのはコロナ禍の時。ほとんどの飲食店が営業を休止した際も、赤字になりながら日本酒の提供を抜きにして営業を続けることを選択した。それは地元伏見の人々の食堂として、どこにも出かけられない中の楽しみ、いわばライフライン的な役割を果たしたいと考えたゆえ。京都ではインバウンド客が目立つと言われるが、[鳥せい本店]の場合はほとんどが日本人、それも地元客のリピーターに支えられている。それも親子三代、孫と一緒に家族連れで訪れる常連が多いというのも、我がまち伏見のシンボルとして長年愛されてきたしるしではないだろうか。
2026年1月23日に迎える50周年を記念して、[鳥せい本店]では懐かしの復刻メニューほか、さまざまな企画を予定している。酒蔵のまち伏見の散策を兼ねて、ぜひ訪れてみてほしい。


ライター・唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。

株式会社 山本本家

株式会社 山本本家

創業
延宝5年(1677年)
代表銘柄
神聖
住所
京都市伏見区上油掛町36-1
TEL
075-611-0211
HP
http://www.yamamotohonke.jp/
鳥せい本店

鳥せい本店

住所
京都市伏見区上油掛町186
TEL
075-622-5533
HP
http://www.torisei.com/
営業時間
11:00〜22:00(LO/21:30)
定休日
月曜※月曜日祝日の場合は翌日・年末年始(12/31〜1/3)

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