龍勢 黒ラベル 純米大吟醸
藤井酒造 | 広島県
藤井酒造
広島県・竹原市の[藤井酒造]は、『第一回全国清酒品評会』で日本一の栄誉に輝いた「龍勢」を醸す酒蔵。150余年、代々の蔵元の思いを乗せて、酒造りを貫き続けている。
[藤井酒造]は江戸末期の文久3(1863年)に、広島県の竹原で酒造業を興した。竹原は「安芸の小京都」と呼ばれ、古い日本建築や歴史ある寺社仏閣が昔のままの姿をとどめる。今でも水道水に地下水を使用するほど良質で清冽な水に恵まれ、海の幸の豊かな食文化も築かれてきた。その自然の恵みを生かして、150余年にわたり造り続けられてきたのが創業銘柄の「龍勢」。明治四十(1907)年開催の「第1回全国清酒品評会」で、最優秀第1位を受賞した純米酒「龍勢」は、戦後純米酒造りが禁止された時代に一旦幕が閉じられた。約30年後に5代目により復刻し、現在も全量純米にこだわり続けている。
「食の個性を引き立てる酒」を目指しているため、華美で突出した香りは求めず、強い自己主張が抑えられている酒造りに勤しんでいる。日本酒が持つ甘酸辛苦渋の五味と幅広い料理に合わせ、季節・熟度・温度帯といった変化で見せる表情を味わえるような酒造りをこだわりつつ、醸した「龍勢 活濁酒 -八反35号-」が広島で行われたG7サミットのワーキングディナーの乾杯酒として振舞われた。
「酒は人が造るものではなく、自然が醸すもの」と考え、その自然の力が最大限に生かされるよう、人智を尽くして工夫をする酒造り。[藤井酒造]では純米酒を完全発酵で造っている。日本酒の本来の姿を求め、醸造するすべての酒に米と米麹だけを使用。また酒酵母が最後まで旺盛に活動を続け、米麹の糖分もアルコールに変えてくれる完全発酵をさせるため、酵母の栄養源となる麹造りや、その前段階の原料処理まで丁寧に行う。さらに微生物と人間の力を合わせた、伝統的な生酛造りにも挑戦している。
「龍勢」という伝統を受け継ぎながら、既成概念にとらわれない遊びゴコロの「夜の帝王」、地元で愛される「宝寿」など、個性豊かな銘柄が並び、蔵人が探究心を持って新しい興味に取り組む試験醸造「龍勢Lab.」など試みも尽きない。確固とした伝統の醸造理念と、新たなステージを志す好奇心を併せ持つのが[藤井酒造]なのである。