京都烏丸[純米酒粕 玉乃光]人気の飲み比べ+自分だけの日本酒ブレンド体験に迫る
京都伏見に蔵を構える[玉乃光酒造]。2022年4月、京都市内に酒粕レストラン&ショップ「純米酒粕 玉乃光」をオープン。3周年を記念した2025年3月28日にはリニューアルを行い、これまでとは違う新しいスタイルでの取り組みをスタートした。

創業350年以上の歴史を誇る[玉乃光酒造]は現在、精米歩合60%以下の「純米吟醸」、そして精米歩合50%以下の「純米大吟醸」に限定した酒造りを行っている。
高精米の純米造りにこだわるからこそ、日本酒の副産物として生まれる酒粕の品質も高い。
京都烏丸エリアで展開する「純米酒粕 玉乃光」は、玉乃光自慢の「純米酒粕」を使用したオリジナル料理を日本酒と共に楽しめるアンテナショップとなっている。
これまで数多くのファンを迎えてきた同店は2025年3月28日の3周年を機にリニューアル。
飲み比べや自分だけのブレンド日本酒体験といった新たな魅力を取り入れた理由を羽場社長に聞いた。
この方に話を聞きました

- 玉乃光酒造株式会社 代表取締役社長 羽場洋介さん
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プロフィール1979年12月12日生まれ。大学院を卒業後に会計士として働いた後、飲食業界へと転身。妻の家業である酒蔵経営に顧問として携わり、2023年9月に社長へ就任する。
日本酒と酒粕料理が楽しめるアンテナショップ
京都市内の中心を南北に走る烏丸通、そして多くの観光客で賑わう四条通が交差するエリアにほど近い。築100年以上の町家をリノベーションした店内はモダンでありながらも歴史を感じられるデザインとなっている。
優れた地理的要因と内装から、多くの観光客で賑わってきたが、「地元の人にも楽しんでほしい」という羽場社長の思いから、今回のリニューアルは実施された。
羽場さん「もともと、玉乃光は店舗経営を通して規模を拡大させてきた歴史があります。現在は大阪、京都に直営の店舗がありますが、古くは北海道から九州という範囲で飲食店を展開することで認知度を上げていったんです。多くの人に知ってもらうという意味では、こういった実店舗は大切だと思います。1日100人が訪れれば、単純に月3,000人、年間3万を超える人たちにアプローチできますしね」
[純米酒粕 玉乃光]では酒粕料理を取り扱っていることから、日本酒ファンだけではなく発酵食品に興味を持つ層からの注目も高いという。家庭の食卓でも日常的に酒粕料理を楽しんでもらうための商品やアイデア、そして学びのきっかけを与えるアンテナショップとして機能している。
日本酒をより気軽に楽しめるリニューアル
今回のリニューアルは、[純米酒粕 玉乃光]で提供する日本酒に焦点を当てた形で実施されたと羽場社長は話す。
羽場さん「1階を日本酒メインで楽しんでもらえるように、テイスティングバー業態へ変更しました。店舗周辺はオフィス街ですので、平日でも就業後の時間帯は人通りも多い。地元の方が気軽に立ち寄って、日本酒を楽しんでもらうことを期待しています。2階はこれまで通りゆっくりと食事を楽しんでもらえるようにしていますので、空間によって使い分けてもらえれば」
1階のテイスティングバーでは、玉乃光自慢の日本酒が飲み放題となる30分テイスティングが目玉となっている。小皿料理も充実しているため、軽く日本酒を飲みたいといった方にもおすすめだ。
[玉乃光]は全国的にも珍しい「純米吟醸蔵」であり、最低でも60%以下に磨いた原料米のみを使用する。自社で酒米の精米を行っており、より雑味の少ない日本酒に仕上がる扁平精米と呼ばれる手法を採用するほどのこだわりだ。
一般的に吟醸酒はフルーティな香りが特徴となるが、玉乃光が醸す吟醸酒は「味吟醸」と呼ばれるタイプ。繊細な京料理に寄り添うための食中酒として優秀な吟醸酒であり、飲み飽きすることなく楽しめる普遍的な味わいに仕上がっている。
本リニューアルでは[My Sake World]が提供するブレンド体験も試験的に導入された。[玉乃光]が展開する銘柄複数種を自由にブレンドし、飲み手好みのお酒を自由に創作できる。
羽場さん「このサービスは『30分1,500円飲み放題』がベースにあったからこそ実現できた。リニューアルの目玉として実施しておりますが、お客様の評価が高ければ今後も継続して提供しようと考えています」
玉乃光の日本酒が進むおすすめメニュー!
同店では米、米麹だけでできた「純米酒粕」を使用した数々の料理が揃う。
今回はその中でもおすすめのメニューとして、以下3品を紹介。
・刺し身盛合せ(時価)
毎日変わるおすすめの魚を盛り合わせた一皿。玉乃光の穏やかな味わいと新鮮なお刺身の相性は抜群。
・酒粕味噌のウフマヨ(税込380円)
ウフマヨネーズとしてSNSで話題になったゆで卵を酒粕料理としてリメイク。発酵食品である味噌と酒粕を合わせることで中毒性の高い味わいに。
・天使海老の沖漬け(税込380円)
漁船の上で取れた魚介類を醤油に漬け込んだことから、「沖漬け」という名称がついた1品。新鮮なおつまみは日本酒が進む。
酒粕を利用した豊富な物販も
「純米酒粕 玉乃光」では酒粕を使用したバリエーション豊かな商品も展開している。
定番の「板粕500g」(税込684円)はもちろん、酒粕を熟成させた「ねり粕300g」(税込648円)や、クリームチーズを酒粕で漬けた「酒粕クリームチーズ」(税込810円)など幅広いアイテムが揃う。
また、オーガニック米を使用した酒粕を使用した「長閑(のどか)」シリーズでは、「酒粕ハンドクリーム」(税込1,650円)や「酒粕フェイシャルマスク1枚」(税込660円)など、心と肌の豊かさを与える商品が展開されている。
さらに、同店のプレミアムブランドとして誕生した「無垢 -muku-」では、上質な酒粕を使用した大人のスイーツを提案。日本酒の風味が感じられる「酒粕フィナンシェ5個入り」(税込1,080円)、酒粕を練り込んだクッキー生地を使用した「酒粕チョコサンドクッキー」など、手土産やギフトに最適な商品が揃う。
羽場さん「物販目当てに来店されるお客様もたくさんいらっしゃいます。また、現在は『薬屋のひとりごと』というアニメとタイアップしているため、コラボ商品を求める方も増えていますね」
日本酒を軸にたくさんの人とつながる
[純米酒粕 玉乃光]は、酒粕を使用した料理と共に、日本酒を楽しめるお店である。家庭の食卓でも日常的に酒粕料理を楽しんでもらうための商品やアイデア、そして学びのきっかけを与えるアンテナショップとして機能してきた。
羽場さん「美味しいお酒や料理を楽しんでほしいと考えています。日本酒を軸に、たくさんの人とつながってもらうためにコンテンツはたくさんあるに越したことはない。その目標に向かうための本アンテナショップであり、飲み放題やブレンド体験だと考えています」
観光で訪れる人はもちろん、地元の人も気軽に立ち寄り、玉乃光の日本酒を楽しめる場所へと進化した。酒と食、そして人とのつながりを体感できる店舗は、これからも日本酒文化の未来を担う場として、確かな存在感を放ち続ける。
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ライター:新井勇貴
滋賀県出身・京都市在住/酒匠・SAKE DIPLOMA・SAKE・ワイン検定講師・ワインエキスパート
お酒好きが高じて大学卒業後は京都市内の酒屋へ就職。その後、食品メーカー営業を経てフリーライターに転身しました。専門ジャンルは伝統料理と酒。記事を通して日本酒の魅力を広められるように精進してまいります。

玉乃光酒造株式会社
- 創業
- 延宝元年(1673)
- 代表銘柄
- 玉乃光
- 住所
- 京都市伏見区東堺町545-2Googlemapで開く
- TEL
- 075-611-5000
- 営業時間
- 8:00~16:30
- 定休日
- 土・日曜、祝日休

純米酒粕 玉乃光
- 住所
- 京都市下京区因幡堂町658-1Googlemapで開く
- TEL
- 075-352-1673
- 営業時間
- 1F テイスティングバー 11:30~15:00(LO 14:30)/ 17:30~22:00(LO 21:30) 2F レストラン 11:30~15:00(LO 14:30)/ 17:30~22:00(LO 21:30) ショップ 11:30~15:00 /17:30~21:30
- 定休日
- 不定休